死亡事故で書類送検されるも逮捕されない容疑者 弁護士がその理由を解説

2019年4月、東京池袋で自動車を暴走させ、親子2人を死なせるなど10人を死傷させた、88歳の容疑者。現行犯逮捕されず、11月になって書類送検されたことに、憤りの声が広がっています。

今回の件について、容疑者は元通産省に勤務していた人物であることから、「警察が一般人とは違う対応をしたのではないか」という批判があります。実際、逮捕は今もされていません。

なぜこの容疑者は書類送検のみで、逮捕されないのでしょうか?銀座さいとう法律経済事務所齋藤健博弁護士に見解を伺いました。

 

なぜ逮捕されないの?

齋藤弁護士:「容疑者も骨折により入院しているようですが、その後も警察署に出頭したうえで、取り調べに応じているようです。逮捕をするには、逃亡や証拠隠滅のおそれがあることが要求されますが、この場合逮捕を適法とするだけの逃亡、罪証隠滅があると判断されなかったのでしょう」

逃亡の恐れがないため、逮捕されないということなのですね…。

 

書類送検ってなに?

容疑者は逮捕ではなく書類送検となっています。これは決して「無罪」というわけではないはず。どこが違うのでしょうか?また、そもそも書類送検とはなんなのかも気になります。

齋藤弁護士:「逮捕は、現行犯逮捕・通常逮捕・緊急逮捕の三種です。準現行犯逮捕は現行犯に準ずる状況で用いられることがある逮捕方法です。逮捕は身体拘束の一種であって、のちに拘留につづく、強制処分の一種です。警察が行う処分であって、強制的に令状などを要する点が異なります。

書類送検は、逮捕や任意同行をしたのちに、検察官に事件が送られていくことを意味しています。書類送検は検察官送致といいます。通常事件が発生すると、警察がその対応を初動として行っていきます。警察は、任意同行をしたり、警察官面前調書というものを作成したり、いわばまずはざっくりと事件を扱っていきます。警察官の捜査を終え、具体的に、不起訴にしたり、起訴をしたり、具体的に被疑者をどんな処遇にするのかを最終的に決定するのは検察官にあります。警察の捜査を終え、検察に送られることを意味する用語です。マスコミ用語では、被疑者が身柄拘束されていない状態に使われるように思われます」

 

逮捕される可能性は?

幼い子供と母親を殺めてしまった罪は重いようにも思えます。遺族として「逮捕してほしい」と思うのは当然のことでしょう。今後逮捕される可能性はないのでしょうか?

齋藤弁護士:「遺族が署名を39万通集めたとの報道もあるようです。執行猶予付き判決ではない場合には、実刑判決が想定されますが、被害感情だけでは難しいのが実情です」

警察の対応や司法に批判が集まっている今回の事件。国民が納得できる措置を望みたいものです。

 

*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律経済事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

齋藤健博 さいとうたけひろ

銀座さいとう法律事務所

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