【弁護士が解説】住んでいないアパートのゴミ捨て場にゴミを捨てたら罪になる?

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住民同士のトラブルは様々なものがありますが、特に多いのがゴミによるもの。

分別ルールを守っていない、収集日を間違えるなどしたことを発端に諍いが起こり、凶悪犯罪に発展することもあります。

 

ゴミ問題に悩むAさん

マンションに住むAさんもゴミ問題に悩んでいます。話を聞いてみると…

「最近、私の住むマンションのゴミ捨て場に隣のアパートの住人が指定時間外にゴミを捨てているようで、困っています。

時折蓋が閉まらなくなったり、マナーの悪い捨て方のせいで悪臭が出たりしている状況です。この迷惑行為をやめさせたいのですが、管理会社に連絡してもやる気が無いのか、未だに対応してくれていません。

こういう行為を罪に問うことはできないのでしょうか? また、止めさせるためにどうすればいいのでしょうか?」

Aさんはどうすればいいのか。星野・長塚・木川法律事務所の木川雅博弁護士に見解を伺いました。

 

弁護士の見解は…

木川弁護士:「捨て方によってご近所さんとのトラブルになったりするゴミの捨て方問題、昔からよくある話ですね。

あるマンションでは、マンション住民ではなく近所のアパートの住民が勝手にマンションの集積場にゴミを捨てており、しかもゴミ出し可能時間外に捨てられているために臭いなどに困っているという問題が発生しているとのこと。

マンションの住民が管理会社に対応を依頼しても、管理会社は迅速に動いてくれず、困っているというケースを耳にしました。

そこで今回は、入居者以外の人間が集積場にゴミを捨てることは違法になるのか、また、管理会社が対応してくれない場合に入居者はどうしたらよいのかについて解説したいと思います」

 

決められたゴミ集積場以外にゴミを出すと廃棄物処理法違反などに問われる

木川弁護士:「今回のケースでまず考えられるのは、廃棄物処理法(正式名:廃棄物の処理及び清掃に関する法律)違反です。

この法律では、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と不法投棄を禁止しており(廃棄物処理法16条)、法定刑は5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその双方が科されると定まっています(同25条)。

ただ、入居者ではないとはいえ、一応ゴミ集積場にゴミを捨てているので「みだりに」捨てているとはいえないのではないかと疑問を持つかもしれません。

これについては、「みだりに」とは、生活環境の保全及び公衆衛生向上の見地から社会通念上許容されないことを意味するとされています。

そうはいってもよくわからないと思いますので私なりに簡単にいいますと、各集積場は世帯数や建物単位の規模に応じて設けられているので入居者以外が捨てることは想定されておらず、入居者以外が捨てることを普通の住民は許容しないだろうと考え、指定集積場以外へのゴミ出しは「みだりな」ゴミ捨てとして処罰の対象となるということではないでしょうか。

発展して、ではコンビニの買い物袋に入る程度の大きさのゴミ、しかも悪臭等の発生しない生ゴミ以外ゴミを1つ捨てただけで廃棄物処理法違反となるのかという次の疑問も浮かぶかとは思いますが、紙幅の関係で割愛します。ルール違反であることに違いはないので、基本的にはやめましょう。

また、廃棄物処理法違反以外にも、集積場に入るためにマンションの敷地内に入る必要がある場合には住居侵入罪に当たってしまいます」

 

民事上での損害賠償請求なども可能となり得る

木川弁護士:「ゴミを勝手に捨てられたマンションの住民が、ゴミを捨てた人に対し、ゴミの撤去を求めたり、ゴミ処理にかかった費用や悪臭等により生じたといえる損害の賠償を請求したりすることは可能です。

ただ、マンションの場合、どのようにゴミを捨てた人(の氏名住所まで)を特定するかや、誰が請求・訴訟の当事者となるかという問題があり、請求する手間と費用とが割に合わない場合が多いのが悩ましいでしょう。

現実的には、管理組合や管理会社の協力を得て、勝手にゴミを捨てられないようにする対策のほうが迅速かつ安価にできるといえます」

 

管理会社が対応してくれないとき

木川弁護士「迅速に動いてくれないというのがどの程度対応が遅い(悪い)かという評価の問題でもありますし、居住マンションに管理人が常駐しているか、困っている入居者が区分所有者なのか賃借人なのか、管理組合はあるか、悪臭が漂う時間の長短(集積場からのゴミ処理状況)等の事情によっても変わってきます。

個々のケースによって、ここには書けない解決方法(もちろん違法ではないです。効果についてもそれぞれですが。)がありますので、色々お考えいただくか、弁護士に相談してみてはいかがでしょうか」

 

まとめ

法令違反になる可能性は高いものの、個人の特定や費用を考えると訴訟を起こすまでにはかなり高いハードルがあるといえます。

まずは地域や同じマンションの入居者に協力を求めながら、「捨てさせない」対策を講じることから始めることが無難かもしれません。

 

*取材協力弁護士:木川雅博 (星野・長塚・木川法律事務所(港区西新橋)パートナー弁護士。売買代金・売掛金・損害賠償請求、不動産の法律問題、農地・農地所有適格法人のご相談、墓地・お墓のトラブル等、法人・個人(個人事業主)の様々な案件を扱っています)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています

木川 雅博 きかわまさひろ

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1-21-8 弁護士ビル303

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