批判殺到の「リクナビ問題」について弁護士が解説

就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア社が、サイト内で集めたデータをもとに内定辞退の予想確率を算出し、企業に販売していたことが判明し、学生を中心に怒りの声が上がりました。

現在就職にはネットが欠かせないものとなっており、そのなかでもリクナビは利用者が多いと言われます。そんな状況下で、勝手に個人情報を利用されデータを売り渡していたとなれば、怒りたくなるのは当然です。

 

厚生労働大臣が法律違反なら行動示唆

事態を受けた根本匠厚生労働大臣は、記者会見で一般論として「法律違反があれば厳正に対処する」と話し、今後売った側・買った側とも法律違反と判断されれば、行動を起こす可能性を示唆しています。

実際のところ、リクルートキャリア社の行動は法律違反になりうるのでしょうか?

法律事務所あすかの冨本和男弁護士に質問してみました。

 

個人データを勝手に売る行為は違法?

冨本弁護士:「学生の事前の同意を得ていなければ個人情報の保護に関する法律に違反すると考えます。個人情報の保護に関する法律は、本人の事前の同意を得なければ個人データを第三者に提供してはいけないと定めています(23条)。

言うまでもないことですが個人の権利・利益を保護するためです(1条)。個人データは、個人情報データベース等を構成する個人情報のことであり、個人情報は、特定個人を識別できるような情報のことです(2条)。

就職活動中の学生の閲覧履歴や閲覧履歴を元にした内定辞退確率も、誰の閲覧履歴・内定辞退確率なのかがわかるような情報であれば、個人情報の保護に関する法律によって保護される個人情報・個人データです。

したがって、本人である就職活動中の学生の事前の同意を得ていなければ違法です」

 

集めた個人データを勝手に分析する行為は?

冨本弁護士:「この点についても、学生の事前の同意を得ていなければ個人情報の保護に関する法律に違反する可能性があります。

個人情報を取り扱う事業者は、個人情報の利用目的を特定して公表し、利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を利用するような場合、本人の事前の同意を得る必要があります(15条・16条・18条)。

したがって、公表している利用目的での利用と言えないような場合、本人である学生の事前の同意を得ていなければ違法と考えます」

 

違法性があった場合、どんな法律違反になる?、刑罰は?

冨本弁護士:「こうした法律違反がある場合、いきなり処罰の対象となるわけではなく、まず監督官庁から法律違反を中止・是正するよう勧告・命令され(42条)、それに従わなかった場合に6月以下の懲役又は30万円以下の罰金」いう処罰がなされる可能性があります(84条)」

 

勝手に売られた側が損害賠償請求できる?

冨本弁護士:「精神的な損害を被ったということで慰謝料請求できるでしょうが、認められても何千円~数万円程度といったところではと思います」

学生の情報を商材にし、信頼を失った今回の事案。相応の責任と罰を受けるべきではないでしょうか。

*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

冨本和男
冨本 和男 とみもとかずお

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