昨今、芸能人や著名人が相次いで逮捕され、起訴されたのち保釈される様子を目にすることが増えました。注目度も高いようで、警察署の前には報道陣が詰めかけ、その様子が中継されています。
出所時の「態度」も、作業員に変装する・土下座をするなどさまざま。そして、保釈の際に支払う金額についても人によってかなり幅があるようです。
被告によって金額に差
ちなみに昨今で最も多額の保釈金を支払ったのは、元日産自動車CEOカルロス・ゴーン氏で、その金額は実に10億円といわれており、天文学的な数字と揶揄されました。
また、麻薬取締法違反違反容疑で逮捕・起訴されたピエール瀧被告は推定400万円、大麻取締法違反(所持)の元KAT-TUN・田口淳之介被告は300万円といわれています。
いずれも一般人にとって非常に高額とはいえ、その金額にはかなり開きがあります。なぜなのでしょうか?
詳細を銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士に聞いてみると…。
齋藤弁護士:「保釈金は、正しくは保釈保証金といいます。金額は一件一件状況に合わせて異なる方法で決定されます。
どんな犯罪の性質なのか、証拠はなにがあるのか、何より、被告人の性格や資産が決定的です。
逃亡・罪証隠滅を防止するための金額ですから、刑事訴訟法93条2項は、相当な金額、としか定めていません。
「被告人はどんな生活の実態を有しているのか」が重要ともいえるでしょう。
逃亡を阻止できると思われる金額が定められるのです。
こうして決定される金額は、実は弁護人が裁判官と交渉をして決定されることも多く、また、ゴーン氏とピエール氏の決定的な開きは、両名の資力・生活環境です」
保釈について徹底解説
保釈金を支払うことで制限はありながらも、留置場から出ることが可能となる「保釈」ですが、そのお金は一体どうなるのでしょうか?
また、どのようなケースだと認められないのか。
詳細を銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士に解説していただきました。
齋藤弁護士:「保釈というものは、逮捕後拘留手続に至っている場合に、一時的に身体拘束から解放することをいいます。この保釈金というのは、一時的に裁判所に預ける性質のお金ですので、実は返金されるものなのです。
保釈申請を行うと、裁判所側が保釈を認める場合には保釈金の決定もなされます。認められない場合というのは、専門的には逃亡、罪証隠滅のおそれがある場合をいいます。
要は、裁判に欠席する可能性が低かったり、証拠隠滅をしなかったり、証言をしそうな人を脅したりするような場合には、保釈申請は通りません。
逆にいえば、これがないのであれば、保釈申請は通るでしょう。
先ほども申し上げた通り、保釈金というのは返ってきます。実刑でも、執行猶予でも、返還されるお金なのです」
保釈について正しい知識を持とう
意外と知られていないようですが、保釈金は、最終的には戻ってくるお金なんですね。
結局返ってくるからと、躊躇なく支払うことができるという側面もあるあるのかもしれません…。
そして「保釈される、されない」は、証拠隠滅や逃亡などの恐れがない人物であるかどうかが考慮されるようです。
もちろん保釈金なんて払わなくて済むのが望ましいですが、正しい知識は持っておきましょう。
*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)