反抗的な生徒に苦しむ女子高の男子教師 「指導」の体罰でも罪になるのか?

女子高校で教師をしているAさん(男性)は、生徒の対応に頭を悩ませています。非常に反抗的で、体育の授業後などに教室に入ろうとすると「まだ着替え中」などと入室を拒否され、授業が30分以上遅れることもあるそうです。

教師によるわいせつ事件が横行する現在では、強行突入することも難しい状況。仮に教室内に入った場合、罪となるのでしょうか? 高島総合法律事務所の高島秀行弁護士にお聞きしました!

 

教室に入ったら罪になる?

高島弁護士:「着替えをのぞく行為となり、軽犯罪法違反となります。」

やはり着替えている最中に教室に入り、着替えているところを見てしまうと、罪になってしまうのですね。

 

着替えが嘘だった場合は?

着替えが終わっているにもかかわらず、「着替え中」と生徒が嘘をついている場合、罪になるのでしょうか?

高島弁護士:「着替えが終わっているにもかかわらず、着替えが終わらないなどと嘘を言って授業を妨害した場合は、偽計業務妨害罪となります。」

 

言うことを聞かない生徒を殴ったら?

仮に着替えが嘘で、日常的に嘘をつき続けられ、再三注意してもやめない場合、誤って教師が体罰に至る可能性もゼロではありません。正当な理由がある場合でも認めてもらえないのでしょうか?

高島弁護士:「体罰で殴れば、暴行罪、けがをすれば傷害罪となります。」

いかなる理由があろうとも、暴力は犯罪になってしまうようです。

 

どうすればいい?

教師を下に見て、一向に言うことを聞かない生徒たち。教師はどうすればいいのでしょうか? 高島総合法律事務所の高島秀行弁護士に見解を伺うと…

高島弁護士:「上記の解決方法としては、ほかの教員などの協力が必要となります。まず、体育の授業が終わってから次の授業開始まで、十分に着替えられる時間が確保されているかの確認が必要です。

移動時間や体育用具の片付け時間などもあります。時間が確保されている場合、着替えが終わらない理由を確認する必要があります。着替えについては、女性教員などの女性職員が着替えの終了を確認する体制が必要かもしれません。

上記を含め、生徒が言うことを聞かないのであれば、時間を割いて生徒と話し合う必要があります。それでも言うことを聞かないのであれば、親に協力を求めることになるかと思います。」

 

体罰に情状酌量の余地はない

高島弁護士:「生徒にからかわれていると思うので、教員側の対応が真剣ではないことから生徒もまた同じことを繰り返すのであって、教員側がからかわれていると思っても、事実関係や原因を調査し、それを解決する方法がないかなど、真摯に問題に向き合えば、そのようなことは起きなくなると思います。

そのような教育や指導で解決する問題であって、(特に学校では)着替え中に男性教員が教室に入ったり、言うことを聞かないから体罰を加えたりしてよいということにはなりません。

いずれの行為も男性教員が行えば、犯罪となり、情状酌量の余地はないと思います。情状酌量は、問題解決に向けて、男性教員が努力をしたにもかかわらず、生徒たちが言うことを聞かずに反抗的な態度を取ったような場合だと思いますが、上記のような解決の具体的方法を取っても、生徒たちが反抗するということはあまりないと思います。

質問者は教育者なのですから、生徒にからかわれて頭にきたからといって、どうしたらやり返せるかを考えるのではなく、生徒がそのような問題行動を取らないためには、どのように教育したらよいかを考えるべきということになります。」

いかなる理由があろうとも、着替え中と主張する女子生徒がいる教室への男性教師の突入や暴力は犯罪行為。学校全体で問題に取り組み、解決していくことが求められます。

 

*取材対応弁護士:高島秀行(高島総合法律事務所。相続・遺産分割をする前に読む本」「訴えられたらどうする!!」等の著作もあり、相続・遺産分割問題について詳しいベテラン弁護士。ブログ「資産を守り残す法律」を連載中)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

高島 秀行 たかしまひでゆき

高島総合法律事務所

東京都港区虎ノ門1-11-7 第二文成ビル9階

コメント

コメント