【弁護士が教える!】売掛金や高額請求…注意すべきホストでのトラブルとその対処法

最近、ホストクラブでのトラブルについて、ご相談を受ける機会が増えてまいりました。

年末に向かうなか、ホストクラブにおいてさまざまなイベントが開かれることを考えると、トラブルの件数も増えていくものと予想されます。

そこで、本日は、ホストクラブでのトラブルのうち、相談の多い類型とその対処法についてお話ししたいと思います。

 

トラブル1 料金が高額にのぼることがある

【トラブルの内容】

ホストクラブの料金は、初回は数千円というお試し料金だったりするのですが、2回目以降の利用で料金が高額化することがあります。

担当ホストから高額なボトルを入れて欲しいと強引に迫られ、断り切れずオーダーしてしまった、後でボトル分のお金は返すからと言われてオーダーしてしまったなど、料金をめぐるトラブルは後を絶ちません。

ホストクラブ側は後にトラブルになったときのことを考え、伝票をきちんと作成しておくなど最低限の対応をしています。

他方、オーダーした際の状況(例えば、強引に迫られた、騙されたといった事情)については何ら証拠がなく、後にこちらの言い分を主張しても、言い合いになってしまうことが多々あります。

この場合、飲食の料金が発生していると証拠を見る限りは言えるので、料金の支払いを後から拒否するのは簡単ではありません。

【対応方法】

まず、強引に高額のボトルを入れるよう迫られたようなときは、店の責任者を呼んでもらうようにしましょう。それでも十分な対応をしてもらえないようなら、すぐに精算にして店を出るようにしてください。つかまれたり、押されたりしたときは、110番通報してください。

後で料金の支払いを拒むことができると考えるのは危険です。

いかにオーダーをせずにその場を離れるかという点を第一に考えましょう。

次に、後でボトル分のお金は返すからとホストから一時的な立て替えを依頼されたときですが、店との関係では皆さんが支払い義務を負うことに変わりはなく、後で本当にボトル分のお金を返してくれるかはわからないので、立て替えは危険です。

証拠がなければ「そんな約束をした覚えはないなど」後から何とでも言えてしまいます。

後で返してもらえるという期待はせず、立て替えは拒否しましょう。

上記のように対応するのがベストですが、それでもオーダーをしてしまったというときには、速やかに弁護士にご相談ください。

ご事情を伺い、証拠があれば拝見して、対応策を考えていくことになります。

時間が経てば経つほど戦いにくくなりますので、速やかにご相談いただくことが重要です。

 

トラブル2 売掛金の支払いスケジュールで揉める

【トラブルの内容】

ホストクラブの料金が高額化する傾向にあることはお話しをした通りです。

この料金について、一括で支払うことができればよいのですが、数十万からときに数百万にものぼる料金を一括で支払うことができず、いわゆる売掛金(「うりかけ」「かけ」などと呼んでいます)として、支払いを一定期間待ってもらうという取り扱いをしているケースが多くあります。

この売掛金については、担当ホストの責任において管理を行い、回収ができなければ店側に自ら立て替えて支払わなければならないという取り扱いにしていることが多いようです。

そのため、売掛金を回収するために担当ホストは必死になるわけです。

過去にご相談いただいたケースでは、「頻繁に脅しのようなメールや電話が入る」「実家や職場に連絡が入る」「手を上げられる」といった事案がありました。

追い詰められて、消費者金融や親族からお金を借りさせられたり、風俗店で働かされたりと、売掛金の支払いを行うためにつらい思いをされている方がいらっしゃいます。

もちろん飲食の代金であるため、原則的には支払い義務を負うものではありますが、上記のようなかなり強引な取り立てに遭遇すれば、追い詰められることによって自身の健康や生活が必要以上に害されることになります。

【対応方法】

担当ホストは、こちらが折れるまで電話やメールで連絡してきたり、職場や自宅、実家に来たりするなど、回収のためにさまざまな揺さぶりをかけてきます。ときには「支払えないのであれば、無銭飲食なので警察に対応してもらうしかない」などと話してくることもあります。

冷静に話をすることができるのであれば、支払いスケジュールを交渉すればよいのですが、上記のような揺さぶりをかけられているとしたら、ご自身で対応するのは危険かもしれません。

そのようなときは速やかに弁護士にご相談ください。

窓口となって無理のない支払いスケジュールとするために交渉いたします。

また、弁護士が介入した後にも担当ホストがしつこく連絡をしてくることがあります。

基本的には無視をしていただければいいですが、不安を煽ったり、情に訴えかけたりと、ここでもさまざまな揺さぶりをかけてきます。

この場合、相手方の対応が度を越したものであれば、警察に対応を要請する場合もあります。

何よりご自身だけで抱えないことが重要です。

 

トラブル3 手を上げられるなど暴力をふるわれることがある

【トラブルの内容】

担当ホストからの営業はときに強引になることがあり、ご相談いただいたケースのなかには殴られた、蹴られたというケースもあります。

これらの行為は少なくとも暴行罪に該当しますし、怪我の程度によってはより重い傷害罪、お金の要求などと合わされば恐喝罪や強要罪に該当することもあります。

このような行為を受けると、怖くて断ることができなくなり、さらに債務額が拡大してくという形で、事態の悪化を招くこともあるでしょう。

【対応方法】

まず証拠を保全することが大事です。

少なくとも診断書は速やかに取るようにしましょう。可能であれば、担当ホストが暴行を自認する旨の発言を、LINEやメール上で残せれば、なおプラスです。

また、警察にはすぐに被害相談をしてください。日数が経過すると、その後事件化をしたくても、証拠が散逸しているなどの事情により、警察が介入できなくなってしまうことがあります。

その上で、直接やり取りをするのは危険なため、弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。

暴行などに対する損害賠償請求のほか、暴行が関係する形でホストクラブを利用したのであれば、料金の支払い義務を免れることができる可能性もあります。また、脅され続けることでさらに債務が拡大してしまうという状況から脱することもできるかと思います。

 

以上、ホストクラブでのトラブルとその対処法に触れてきましたが、共通して言えることは、お一人での対応は危険であるということです。

弁護士や警察のほか、友人や家族でも構いませんので、まずはどなたかに相談しましょう。

 

楽しくお酒を飲むだけなら問題はありません。

ただ、ホストクラブはどうしてもトラブルが起きやすい場所であると言えます。

その点を十分頭に置いて、怖くなったら、すぐに誰かに相談して早期に対処をするということを忘れないようにしてください。

 

*執筆弁護士:若井 亮(若井綜合法律事務所。「迅速対応」「分かりやすい説明」「徹底した報告」をモットーとしている。不当要求への対応、詐欺被害への対応を多く経験している)

*画像はイメージです(pixta)

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