離婚の原因には様々なものがありますが、「ドロドロ」になりやすいのが不貞です。配偶者を裏切り第三者に心を奪われているわけですから、感情的になるのは当然でしょう。
当然そのような場合は不貞を働いたほうに慰謝料を請求することになりますが、その「相場」についてはケース・バイ・ケースであるため、わかりにくいという声があります。
そこでシェアしたくなる法律相談所編集部ではいくつかのモデルケースを設定。
離婚問題に詳しい銀座さいとう法律事務所の齋藤健博弁護士に実際に慰謝料はどのくらいになるかお聞きしました。
■ケース1
①結婚歴15年・夫婦仲の不和はない・不倫暦3年・夫の不倫が原因で離婚に至った場合
齋藤弁護士:「まず、夫に対しても、不貞相手に対しても、同一の責任追及が可能です。その根拠は、共同不法行為(民法719条)です。
不倫相手と夫の双方の行為によって、配偶者の貞操権を侵害した形になるので、慰謝料の請求は双方に可能です。本件では、婚姻歴が15年と比較的長期であること、不倫歴も婚姻歴の5分の1と、長期にわたる関係にあることからすると、不貞行為を原因として離婚に至った、因果関係があると説明しやすいでしょう。この場合、300万円に、費用の1割が認容される可能性があるでしょう。
もっとも、離婚に至った以上、財産分与などの請求も可能ですから、慰謝料金額として330万円ということになるか、その費目はさらに検討の余地がありましょう。有利にできるよう、解決策をさぐることになりましょう」
■ケース2
②結婚歴3年・妊娠中・妊娠中セックスレス・それ以外夫婦の不和はない・不倫歴1年・離婚するつもりはないが、不倫相手に慰謝料を請求したい
齋藤弁護士:「①とは異なり、婚姻期間が短いことは気になります。また、離婚に至っていない身分関係をみると、①の半額度が上限になってしまう可能性がありましょう。もっとも、婚姻期間の3分の1もの期間、継続的に不貞行為があるのですから、諦める必要はありません」
■ケース3
③別居期間3年・夫婦不和はあったものの、子供をふくめた家族みんなではうまく行っていた・夫が不倫相手と結婚したいから離婚したいといっている。
齋藤弁護士:「これも局面が異なりますね。お子さんに与えた悪影響はもとより、夫婦関係がうまくいっていた状態です。そうであれば、慰謝料請求に対する反論(専門的には抗弁)である、夫婦関係はもとよりうまくいっていなかったのだから、慰謝料は減額すべきであるとの主張が認容されにくいことは間違いありません。少し難しい言葉ですが、これは夫婦関係破綻の抗弁と位置付けられます。
離婚していることからすると、やはり純粋な慰謝料としては330万円前後の可能性がありますが、このケースでも財産分与と合わせて問題となりますので、より有利になるように工夫すべきです。なお、親権の帰属によっては、養育費の問題も生じてくるでしょう」
慰謝料の金額はケース・バイ・ケースで変わるものですが、算定基準のようなものは存在します。離婚問題を取り扱ったことのある弁護士はその辺りを全て把握していますので、離婚と慰謝料の取り立てを考えている人は、まず弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
*取材協力弁護士: 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)