実写映画が大ヒットし、7月からはアニメも再開、そして8月には実写映画の続編が待っている、大人気漫画『銀魂』(集英社)。筆者は銀魂づくしこの夏が待ち遠しい!
銀魂が好きなこともあり、この法律メディアでどうにか銀魂を絡めたものを書きたい…!と色々考えたのですが、『銀さんの給料未払い?』、『万時屋たちのこれまでの器物破損問題?』…どれもパッとしない!
結局行き着いたのが、『攘夷志士って…いつも真選組に追われているけど一体何罪なの?』でした。
今回は、桂小太郎や、高杉晋助などの攘夷志士が、どんな法律で『御用改め』されるのか、銀座さいとう法律事務所の齋藤健博弁護士監修のもと、徹底解明していきたいと思います。
■そもそも攘夷志士って?
銀魂は一応、江戸時代末期の侍の国、江戸を舞台とした、時代劇漫画。作者の空知氏は銀魂を、「SF人情なんちゃって時代劇コメディー」と言っています。
甘党・無鉄砲な銀さんがたまに活躍。SF時代劇!
江戸では、突如宙から舞い降りた異人「天人」の台頭と廃刀令により侍が衰退の一途をたどっていた。しかし一人、侍の魂を堅持する男が…。その名は坂田銀時。甘党&無鉄砲なこの男が、腐った江戸を一刀両断…するかも!?
引用元:ジャンプ公式サイト 『銀魂』
といったのが銀魂の大まかなあらすじ。
なんちゃってといいつつも、一応は時代劇ですから、実際の歴史用語もちょこちょこ出てきます。
『攘夷』もその1つ。漫画の設定では、天人にひれ伏した幕府を転覆しようと企む人々を『攘夷志士』と呼んでいますが、実際の江戸時代にも外国を日本に入れまいとする『攘夷派』の人々がいました。有名なのが、吉田松陰や、桂小五郎、坂本龍馬、高杉晋作など。
銀魂を知っている方はピンときましたよね?
そう、銀魂の登場人物は、本物の攘夷派の人々をちゃんとモデルにしているんです。
銀魂では、吉田松陽に、桂小太郎、坂本辰馬、高杉晋助、と少しもじられています。
■国家転覆を図ると『内乱罪』
国家の転覆を図って暴動を起こすと、『内乱罪』にあたることがあります。
実はこの罪、国家的法益、国家の存立に対する罪であると分類されています。
要は、窃盗罪とか殺人罪などの個人に対する罪ではなくて、国の内部から国家を攻撃し、暴力により基本的な統治組織・体制を破壊するものです。
ちなみに、罰則は、首謀者なのか、従っただけなのか、で変わってきます。同じ暴力行為であっても、国家の統治体制を攻撃することを目的としているかどうかで異なり、専門的には目的犯であると分類されます。
・首謀者
内乱を先導したリーダー【死刑または無期禁錮】
・謀議者
群衆を指揮する人。サブリーダーのような立ち位置。【無期禁錮または3年以上の禁錮】
・従事者
その内乱行為の集団の中で、指示や任務を遂行した人。【1年以上10年以下の禁錮】
・付和随行者
その内乱行為に参加した人。【3年以下の禁錮】
また、内乱を起こさずとも、これから起こそうとしている人は以下のような罪になります。
・内乱予備罪:内乱の準備をした【1年以上10年以下の禁錮】
・内乱陰謀罪:内乱の計画をした【1年以上10年以下の禁錮】
ちなみに、兵器や資金を提供しただけなど、実行する前の予備・陰謀に加担したのみにとどまる場合、自首をすれば免除の余地があります。
しかし、首謀者が実行行為に着手、すなわち国家への攻撃を始めてしまうと、もう、間に合いません。
それから、内乱によって革命が成功した暁には、罪に問われません。その首謀者が国のトップとなるわけですから。
■では、桂や高杉たちは!?
桂小太郎は、温厚派の攘夷志士ですが、他の志士たちを率いて幕府に対抗しようとしつつも、『暴動』は起こしていません。しかし、転覆を図っていることは確かなので(そんなそぶりあまり見せなくなりましたが)、『内乱陰謀罪』にあたるのではないでしょうか。
一方高杉晋助ですが、彼も暴動とはいかずとも国家転覆を図っていますので、『内乱陰謀罪』までの成立余地はあるでしょう。
しかし、地球外悪徳組織『春雨』と手を組んで地球に攻め入ろうと考えていたりします…。
もし、それを実行して戦争を起こした場合、すなわち攻撃の対象が外部から日本国に対して、武力行使などをした場合、『外患誘致罪』に問われる可能性があります。外患誘致罪とまでいえなくても、外患を援助すると外患援助罪に問われます。
ちなみに、外患誘致罪は一番重い罪。刑罰はなんと、死刑のみ。
※あまり深いところまで記載するとネタバレになりますので、ストーリーに触れそうなところは色々割愛しています。
■さいごに
いかがでしたか?
漫画・アニメの世界で現実の法律が適用されたら大変なことになります。
警察である真選組がやばいことやっちゃってたりしますからね。(局長がストーカーだし…。)
小ネタの1つと思っていただければ幸いです。
*執筆:シェア法編集長(シェア法を盛り上げようと、奮闘中。シェア法で監修・執筆いただける弁護士先生大募集中です!)
*監修弁護士: 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)
*画像イメージです(pixta)