気に入らない兄弟と縁を切りたい! 法的に可能なのか弁護士が解説

兄弟や姉妹や血の繋がった肉親であり、助け合う存在。ところが、一度仲がこじれてしまうと、友人以上に憎み合うといわれています。そのような場合、残念なことですが、「縁を切りたい」と考える人もいるようです。

法的に『兄弟(姉妹)の縁を切る』ことは可能なのでしょうか?エジソン法律事務所の大達一賢弁護士に解説していただきました。

 

■兄弟の縁を切ることはできるのか?

大達弁護士:「縁を切ると一口に言っても、親子間の勘当のようなものから、法律上の兄弟・親子関係を失わせるものまで、様々なものが考えられます。

そのため、今回は

①法律上の縁切り

②事実上の縁切り

について説明しようと思います。

まず、①については、法律上、兄弟関係や親子関係の縁を切ることは基本的にできません。したがって、法律上の兄弟・親子の関係は続くことになります。ただし、子が6歳になるまでの間に、特別養子縁組(民法817条の2)が成立する場合には、結果的に実親子関係も兄弟関係もともに断ち切ることにはなります。

次に、②について、特に親子関係において問題になる相続に関しては、一定の事由があることを要件に、相続人から『廃除』することができます。

この要件とは、相続が開始した場合に相続人となる者(推定相続人)が、被相続人に対して虐待をした場合、若しくは、被相続人に重大な侮辱を加えた場合、又は、推定相続人に著しい非行があった場合に、被相続人が家庭裁判所に請求することによって、当該推定相続人は相続人から排除されることになります(民法892条)。」

 

■遺言で相続させないとすることも可能

大達弁護士:「また、遺言で特定の相続人に対して相続させないという内容とすることも可能ですが、その場合には相続人の最低限の権利である遺留分を侵害しないように気を付けなければいけません。

例えば、子が親に対して日常的に暴力を振るっていた場合に、親が家庭裁判所に請求した場合には、その子は相続人から廃除されるので、事実上親子の縁を切ったものと同視することもできるでしょう。

ただし、廃除された場合であっても、その者に子がいる場合、すなわち、孫がいる場合などには、その孫に相続権は発生します(民法887条2項)。

また、推定相続人から廃除されたとしても扶養義務(民法877条1項)は負い続けますので、やはり法律上は完全な縁切りは難しいでしょう。

なお、先に遺留分の話をしましたが、相続人のうち、兄弟に関しては遺留分はありませんので、遺言によって一切の財産を相続させないようにすることができます。その反面として、推定相続人の廃除という方法をとることができません。

以上を踏まえると、絶縁状のような覚書を作成し、お互いに一切の連絡を取らないという事実上の約束をする以外には縁を切る方法がないといえますし、この場合でも扶養義務は負うことになるので、完全な縁切りは難しいと思われます。

私にも兄弟はいますが、お互いすっかりいい歳になった今も、一緒に銭湯に行くなど、兄弟仲は至極良好です。兄弟はいちばん近い他人だなんていう言葉もありますが、せっかく同じ親のもとで生まれ落ちたわけですから、仲良く過ごしたいものですよね。」

 

やはり『完全な縁切り』は法律上難しい様子。一度は1つ屋根の下で暮らした存在ということを考えれば、縁切りではなく、『仲直り』の道を模索したいものですね。

 

*執筆・法律監修: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

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大達 一賢 おおたつ かずたか 弁護士

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