職場の上司から「前髪を切れ」と命令された…断っても問題ない?

会社ではなにかと「社会人らしく」と指導されます。厳しいところになると、男性の場合「服装はスーツで、Yシャツ・靴下は白色、髪は短めに」などと細かく指示されることがあります。

納得のいかない部分もありますが、学生とは違いお金を稼ぐ場ですから、受け入れざるを得ないでしょう。しかし、ある会社に勤めるBさんは、昨今納得いかない指示を受けたそう。

それは、『髪型』。上司から「前髪が長い!切ってこい!」と命令されたそうで、「それは会社の業務に関係ないだろ」と憤っており、「断りたい」と思っているとのこと。

しかし断れば、辞職を迫られる可能性もあります。法的根拠があれば、できるかもしれませんが…。断っても問題ないのか、ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士にお伺いしました。

 

Q.上司から「前髪を切れ」と命令された…断ることはできる?

 

A.原則として服装髪型は自由ですが、合理的理由があると判断された場合は制約も認められます。

森川弁護士:「ハイヤー会社が、口ひげをはやして乗務していた運転手に対し、『乗務員勤務要領』に基づいてしたひげをそるべき旨の業務命令につき、要領中で禁止される『ヒゲ』とは、『無精ヒゲ』又は『異様、奇異なヒゲ』を指すものであるとして、命令に従うべき義務を否定した事例(昭和55年12月15日東京地裁)もあり、原則、服装髪型は個人の自由、但し、合理的理由があれば制約も認められる、ということで、事案では「合理性」はなさそうですね。」

 

合理性のない指示については断っても『問題はない』そう。実際のところなかなかきっぱりと断るのは難しいと思いますが、法的には『合理性のないもの』については断ってもよいということは、覚えておきましょう。

 

*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

*画像はイメージです(pixta)

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