オフィス北野の内紛問題…タレントから経営陣に給料の減額を迫ることはできる?

タレントのビートたけしさんが、長年所属していた「オフィス北野」を退社。その後、彼の弟子である「たけし軍団」とオフィス北野の経営陣が、経営方針などをめぐって揉めていることが報じられています。

その理由とされるのが、経営陣が高い年収をもらっていること。軍団からすると、その金額は「ありえない」と感じているそうです。

このようなことは一般社会でもあります。社員から経営陣などに高すぎる給料を減らす、場合によっては退陣を迫るようなことはできるのでしょうか?

星野・長塚・木川法律事務所の星野宏明弁護士にお話を伺いました。

 

■社員が経営陣の給料について不当性を訴えることはできる?

「社長は法律上は取締役の地位あり、選任解任の権限は株主総会がもっています。そして株主総会は、いつでも取締役を解任することができます。

しかしながら、所属タレントと事務所の関係は、通常業務委託であることが多く、業務委託でないとしても雇用関係となりますので、事務所の株主となっていない限り、株主総会を通じて社長の取締役としての地位を解任することはできません。

事実上、株主に働きかけることで解任が可能な場合はあるでしょうが、あくまで解任の権限は株主にあります。所属事務所の一般社員の給料についても、タレントと事務所が業務委託関係にあるような場合には、法律上は事務所の構成員ですらなく、事務所の従業員の給料について不当性を訴えることはできないでしょう。

業務委託である場合は、納得できなければタレント委託契約(所属契約)を解除するだけのことです。株主となっていない限り、社長の座を社員が追い出す法的な権限まではありません」(星野弁護士)

残念ながら社員が経営陣の給与について異議を申し立てることはできないよう。また、オフィス北野のような芸能事務所については、タレントと事務所が業務委託関係にあることが多く、従業員の給与について不当性を訴えることも、難しいようです。

社長との話し合いなどで、説得していくしかないのかもしれませんね。

 

*取材協力弁護士:星野宏明(星野・長塚・木川法律事務所(旧星野法律事務所)。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)

*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)

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