みなさん丑の刻参り(うしのこくまいり)って知っていますか? 怖い話などでたまに出てくるアレです。実際の効果はわかりませんが、わら人形を木に打ち込むことで人を呪うことができるとされています。もし、わら人形の効果で人が呪われて、病気になったり命を落としたりした場合、わら人形で呪った本人は犯罪者となるのでしょうか?
この記事では、『わら人形で人を呪うのは犯罪なのか』について紹介していきます。
まず人に呪いをかけることは犯罪なのか?
まず丑の刻参りが違法かどうかの前に人に呪いをかけること自体が許されているのかどうかを確認しましょう。弁護士の先生に聞いてみました。
この点について、丑の刻参りをするだけで犯罪に該当するということはないようです。呪いの効果についてはその証明が不可能であり、結果を発生させる危険がないという理解から犯罪には該当しない(不能犯という)とのことです。
その他丑の刻参りで問われる可能性のある罪一覧
上記のほか、丑の刻参りで問われる可能性のある罪を一つひとつ説明していきます。
脅迫罪
脅迫罪の条文には、『生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する(刑法222条1項)』とあります。
つまり、『呪ってやったからな』という発言のみだと脅迫罪に問われる可能性は低いですが、『呪いの力でお前を殺す』といった具体的な発言で脅した場合は脅迫罪に問われる可能性があります。
傷害罪
傷害罪は刑法で『人の身体を傷害した者は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(刑法204条)』と定められています。
『呪ってやったからな』という発言がきっかけで、相手が精神を病み、体調を崩して病気になった場合は傷害罪に問われる可能性があります。ただし、実行行為が言葉のみとなると、長期間にわたり多数回当該発言を繰り返しノイローゼにさせる、といった極端な事案になるでしょう。言葉や文字(手紙やLINEのメッセージなど)で人を攻撃した場合でも、相手の生理機能に障害を与えることは傷害罪に問われる可能性があります。
住居侵入罪
住居侵入罪は、『正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。(刑法130条)』と定められています。
つまり、正当な理由がないのに(参拝をするのではなく、わら人形を打つため)、人の看守する建造物に(神社の人が管理している土地)に侵入したので住居侵入罪に問われる可能性があります。
そして、出ていくように言われても出ていかなかった場合には不退去罪に問われる可能性があります。
器物損壊罪
器物損壊罪は、『他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。(刑法261条)』と定められています。
神社の人の所有物である木に釘を打ち込む行為は器物損壊罪に問われる可能性があります。
まとめ|丑の刻参りはやめた方がいい
現代の日本で、呪いの力を信じている人はあまりいないかもしれません。だからこそ、冗談だとしても人に呪いをかけようとしたり、丑の刻参りをしたりするのはやめておいた方がよさそうです。逮捕という冗談では済まされない結末を迎えるかもしれません。
*監修弁護士 : 若井 亮
*取材・文:アシロ編集部
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*PAKUTASO(パクタソ)