もし自分にもしものことがあったとき、「手間もお金もかかるし、わざわざお墓を立てるくらいなら海に撒いてほしい。」と願う人もいるのではないでしょうか。
筆者は、世界の中心で愛を叫ぶという映画で、最後に主人公が愛する人の骨をオーストラリアのエアーズロックで撒いているのを見て幼いながらに憧れたのを覚えています。
一般的に、亡くなった人のご遺体は埋葬され、墓地やお寺のお墓に埋葬されます。ですが、自然葬(海などの自然に骨を撒く)を希望するか人も少なくなく、葬儀業者にはそういった人向けのプランを用意しているところも多く見られます。
ですが、自然葬にはルールがあり、場合によっては法に触れてしまうこともあるのです。
■遺骨の扱いに関する法律
遺骨に関する法律は、死体等遺棄罪(刑法190条)と墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)があります。
死体等遺棄罪は遺骨を遺棄すると罪になり、墓埋法では、遺骨を墓地などの決められたところ以外の場所に埋めることを禁止しています。
ですが、私有地や公共の場所以外で、遺骨を粉末状にし、土に埋めることなくモラルの範囲内で散骨するのであればそれらの法律には抵触しないとされています。
実は散骨に関しては明確な法律が取り決められていません。合法でもなく違法でもない、というのが正しいでしょう。
これは「火葬した遺骨は必ず墓地に埋葬しなさい。」と取り決めをしてしまうと国民の宗教の自由がなくなってしまう、逆に「遺骨を撒いたり埋めたり自由にしていいよ。」と取り決めてしまうと各自治体への負担が大きくなる、という二律背反からくるものなのです。
■散骨が認められるケースの例
★海水浴場や漁業場でない海の沖で、散骨する
★自己所有の山で散骨する
★散骨の許可が出ている土地で散骨する
どの場合も必ず、遺骨を粉末状になるまで砕き散骨しましょう。少しでも原型をとどめていると死体等遺棄罪にあたる可能性がありますので注意しましょう。
■散骨が認められないケースの例
★自宅の庭に遺骨を埋める
散骨ではないですが、自宅であっても遺骨を埋めると埋葬法に抵触します。
★私有・国所有の山に散骨する
自身の土地でない場所に許可なく散骨すると所有者から風評被害などによる慰謝料請求をされる可能性があります。
★漁業場や海水浴場で散骨する
こちらも許可なく散骨すると所有者から風評被害などによる慰謝料請求をされる可能性があります。
■まとめ
散骨をはじめ、樹木葬などの自然葬は葬儀業者などがそれぞれプランを提案しています。きちんとしたところに依頼すれば散骨業者が正しい方法で散骨をしてくれるので個人でやるのではなく、そういった業者に依頼することがベターでしょう。
どうしても個人でやりたいという方は、場所や方法を事前に調べ、モラルを守って散骨しましょう。
大切な人の遺骨が原因でトラブルに発展してしまったら、辛いですよね。
*弁護士監修・執筆/ 銀座さいとう法律事務所 齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、
*取材・執筆・編集/アシロ編集部
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