結婚紹介所や婚活サイトは『結婚したい』と考えている人同士のマッチングサービスで、多くの人は真剣に結婚相手を探すことを目的としていますが、なかには『結婚する気はないが遊び相手が欲しい。』という人もいます。
もし自分がそのような相手とマッチングして遊ばれてしまったら、悔しくて『訴えたい!』『警察に何とかしてもらいたい!』と思ってしまうものです。また、このように人の好意を逆手にとる行為は犯罪ではないの?と疑問に思う人もいるでしょう。
この記事では『結婚紹介所や婚活サイトで遊び相手を探すことが犯罪になるの?』という疑問について水田法律事務所の河野晃弁護士に伺いました。
■遊び相手を探すこと自体は犯罪ではない
結婚紹介所や婚活サイトで遊び相手を探すことは迷惑行為ではありますが、その行為自体が犯罪となることはありません。そもそも、相手が本当に『遊び相手を探している』と証明するのは難しいですよね。
また、もし一夜限りの関係となった場合でも合意があれば、翌日に別れを告げられたり音信不通になってしまったりした場合でも違法とは言えません。
◆強姦として罰したり、暴行や脅迫等で訴えることはできるのか?
河野晃先生)
結論としては、実際に暴行や脅迫がないのであれば、無理でしょう。もし、そういった事実が無いのに強姦で告訴をすると、逆に虚偽告訴罪に問われる可能性もあります。ちなみに、現在は刑法上『強姦』という言葉は使っておらず、『強制性交罪』と呼びます。
暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下『性交等』という。)をした者(引用:刑法第177条 強制性交等)
■婚約に至っていない関係でも損害賠償できる?
婚約関係にある男女であれば、一方的な破棄・不法行為をした場合は慰謝料請求の対象になる可能性は高いかと思いますが、婚約に至っていない場合でも相手は損害賠償請求することは可能なのでしょうか。
河野晃先生)
難しいと思います。男女問題は一義的に解決できないので、婚約に至らない単なる交際であれば、その継続につき、法的に保護すべき期待はないという評価になる可能性が高いと言えます。
■運営者側は『遊び相手を探す会員』を規制できないのか?
結婚紹介所やマッチングアプリの利用規約の禁止事項に『遊び相手を探す人お断り』とは書いてありませんが、
『本来のサービス提供の目的とは異なる目的で利用する行為』
という記載がある場合が多いです。
しかし、そのような記述があっても本人が『真剣に婚活したけど相手とは性格があわなかった…。』と主張してしまえば、目的が異なっていたと言い切れません。
そのため運営側も規制することが難しいのが現実です。
■結婚紹介所や婚活サイトで遊び相手を探すことのリスク
結婚紹介所や婚活サイトで遊び相手を探すことは犯罪にはなりませんが、真剣に婚活をしている相手を騙すわけですから以下のようなリスクが考えられます。
- 相手からリベンジポルノされる
- 相手に住所・電話番号・LINEのIDなどを知られている場合ストーカーされる
- 相手が想像以上にのめり込んでいた場合、殺傷事件・脅迫事件に発展する など
相手が真剣だからこそ、事件に発展する可能性があります。
証拠がなく、事実でないことが証明されても性犯罪で警察に呼び出されてしまったり、裁判を行われてしまったりすれば社会的信用は失われてしまうでしょう。
ですので、犯罪にはならなくても結婚紹介所や婚活サイトで遊び相手を探すような行為は、周囲を事件に巻き込むリスクのある行為なのです。
■まとめ
真剣に結婚したい人が集まる結婚紹介所や婚活サイトで遊び相手を探すことは迷惑行為ですが、犯罪として訴えることができないのが現状です。
遊ばれて『悔しい!』という気持ちから復讐を考える人もいるでしょう。しかし、暴行やストーカー、ネット上に相手の実名や情報を公開する行為は、あなたが法律に抵触してしまう可能性がありますので、絶対にやめましょう。
*取材協力弁護士:水田法律事務所 河野晃弁護士(兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活8年目を迎える。敷居の低い、気軽に相談できる弁護士を目指している。)
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