2月15日、昨年12月川崎市の路上で左手にスマホ、右手に飲み物を持ち、耳にイヤフォンをしたまま電動アシスト自転車に乗っていた20歳の女子学生が、77歳の女性と衝突し死亡させたとして、重過失致死罪で書類送検されたことが判明しました。
女子学生の安全意識に批判の声があがっているほか、逮捕されず書類送検だったことや、重過失致死罪と比較的罪が軽めと思われることなどから、警察の対応や現行の法律について、疑問の声が出ています。
今回、なぜ警察はこのような対応をとったのか。そして、今後どのような量刑が科せられることになるのか。星野・長塚・木川法律事務所の星野宏明弁護士にお話を伺いました。
■なぜ書類送検のみだった?
「書類送検のみで逮捕されなかったのは、故意犯でないこと、事実を認めるなどしており、他の客観証拠もあり罪証隠滅のおそれがないこと、女子学生で逃亡のおそれがないこと、などが考慮され、逮捕勾留の必要まではないと考えられたものと思われます」(星野弁護士)
■量刑はどうなる?
「重過失致死罪(刑法211条1項後段)の法定刑は5年以下の懲役もしくは禁固刑または100万円以下の罰金です。
実際の刑罰は、遺族らとの示談があれば、執行猶予がつく可能性が高いと思います。仮に、示談が成立しなかったとしても、信号無視や暴走していたわけでないため、著しく悪質な態様ではないとして、実刑にはならない可能性があります」(星野弁護士)
ながらスマホは社会問題化していますが、現行の法律では実刑にならない可能性が高いようです。
今回の事件は人の命が失われており、被害者と遺族の無念は相当なものがあるはず。ながらスマホによる自転車の運転は、絶対に行わないようにしてください。
*取材協力弁護士:星野宏明(星野・長塚・木川法律事務所(旧星野法律事務所)。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)
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