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交通事故と聞くと車同士で衝突したり、車が人と接触してしまったりなど、自動車のイメージがどうしても大きいのではないかと思います。しかし近年、自動車だけでなく自転車が歩行者と接触してしまうという交通事故のニュースもよく聞くようになりました。
メディアでも自転車が歩道を通行する危険性について多く取り上げられるようになり、自転車は歩道ではなく、車道を走らなければならないというルールが少しずつ認知されつつあるのが現状です。
しかし一方で、早い速度で走行している車の横を自転車で走行するというのは怖いという意見もあります。
ネット上でも、車道を走らなければならないという交通ルールは理解しているけれども、それを徹底すると車道通行した自転車の事故が増えるのでは?といった意見など、やはり車道を自転車で走行することが危険と考えている方は多いようです。
ではこの問題、法律的にはどうなのでしょう。自転車が歩道を走行することは、すべて違法になってしまうのでしょうか?
Q.自転車で歩道を走行するのは違法か?
A.原則は車道を走行、ただし例外がある。
道路交通法上、自転車は軽車両扱いです。そのため自転車で走行する場合、歩道と車道の区別があるところは、原則として車道を走行しなければなりません。そのため基本的には車道の信号に従う必要があります。
ただし、以下の条件に該当する場合には自転車であっても歩道を走行することができます。
1)道路標識等で指定された場合
2)運転者が児童(6歳以上13歳未満)・幼児(6歳未満)の場合
3)運転者が70歳以上の高齢者の場合
4)運転者が一定程度の身体の障害を有する場合
5)車道又は交通の状況からみて、やむを得ない場合
以上の5項目に該当する場合には、自転車であっても歩道を走行することができます。
ちなみに、都内の歩道の6割は「自転車及び歩行者専用」道路とされており、「道路標識等で指定された場合」に該当しています。自転車が走行できる歩道は、私たちが考えている以上に多いのかもしれません。
■やむを得ない場合とはどんなケースを指す?
5番目の「車道又は交通の状況からみて、やむを得ない場合」という項目。この「やむを得ない」という表現が、なんとも抽象的ですよね。具体的には以下のようなケースを指すようです。
・路上駐車車両が多く、かつ右側に避けるのが困難な場合。
・自動車の交通量が著しく多く、かつ車道が狭い場合。
・煽り運転、幅寄せなどの危険運転や、理由もなくクラクションを鳴らすなど、自動車を用いた暴行行為を行う者がいる場合。
(参考 公益社団法人自転車道路交通法研究会HP)
上記のようなケースの場合「やむを得ない」と判断できるようです。
ここで注意すべき点は「やむを得ない」が運転者の主観による状況ではなく、客観的にみて「やむを得ない」状況と認められる必要があるということです。
例えば、普段あまり自転車に乗らない人が「横で車が走っているのが怖いから歩道を走行する」と判断するのは、運転者の主観によるもので、練度の問題となるため、客観的な「やむを得ない」状況に当てはまらない可能性が高いということ。
車道の走行が危険だと感じたら、まずは一旦自転車から降り、歩道を渡るという選択を取ることが賢明なのかもしれません。
自転車が歩道を走行することは必ずしも違法であるというわけではありません。自転車の運転が客観的に危険であると判断される状況の場合には、自転車が歩道を走行することが可能となります。
ただし、自転車で歩道を走行する場合には歩行者優先であるということを忘れてはなりません。歩行者との事故が起こらないよう、歩道の中央から車道側を徐行し走行することをしっかりと心がけて運転しましょう。
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*記事監修弁護士: 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)
*取材・文:伊藤 あきら(AFP、クラシックカメラアンドアンティークカンパニー株式会社代表取締役。同志社大学卒業後、日本生命相互会社、HIPHOPダンサー、税理士法人を経て、現職。会社経営の傍ら、フリーライターとしても活動している。オフィシャルサイト「いとうノート」)
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