初婚と聞いていたのにバツが…婚約破棄は認められる?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

意外と多い男女間での隠し事。とくに「人の過去」は、知られたくないことも多く、相手に告げず伏せておくこともあります。

好きだからこそ、過去を隠匿しておきたいと考えるのは、自然なことかもしれません。

 

■婚歴を隠すケースも

そんな「隠したい過去」の1つが、離婚歴。「バツがついている人との結婚は嫌」という人も多く、初婚ということにしてつきあい、婚約するケースもあるのだそう。

しかし、最近は情報化社会であるだけに、婚約後すぐに婚歴がバレてしまうことが多々あります。そのような場合、事実を知った側はショックを受けてしまい、最悪婚約破棄を考えることになるでしょう。

そのような場合、破棄事由として認められるのか。エジソン法律事務所の大達一賢弁護士に解説して頂きました。

 

■婚約破棄できる?

「未婚だと思っていた交際相手に離婚歴があったことが発覚した場合、騙されたと感じる人は少なくないと思います。

婚約していた場合には、なおさらそのように感じてしまうのも無理はありません。しかし、婚約は婚姻の予約であり婚姻状態にはないことから、法律上は何らの規定もありません。

この場合、婚約の破棄は無制限にできるのでしょうか。この点について、裁判所は、男女間の一般的な交際にとどまらず、いわゆる婚約をしているといえる場合には、婚約当事者に対して一定の法的保護を与えています。

いかなる状態が婚約に該当するかについては一義的に決まるわけではないので、別の機会に譲りますが、具体的には、婚約が正当な理由なく破棄された場合には、慰謝料等の損害賠償を相手方に請求できることになります(最高裁昭和38年12月20日判決参照)。

これは、裏を返すと、正当な理由がある場合には慰謝料等を支払うことなく婚約の破棄ができる、ということでもあると理解できます」(大達弁護士)

 

■正当な理由になるのか?

「では、未婚だと偽っていた相手に離婚歴があったという事情は、婚約を破棄する上で“正当な理由”といえるでしょうか。

この点について、直接判示した裁判例は見当たりませんが、今後婚姻をすることが社会通念上困難な状態であるといえる場合には、「正当な理由」があると考えられます。

具体的には、不貞行為、重要な事実について虚偽がある、経済状態の極度な悪化、暴力・暴言、社会常識を相当程度に逸脱した言動などが挙げられます。

今回のように、婚約相手に離婚歴があったという事情のみでは、今後婚姻をするのに支障が生じるほどの重要な事実について虚偽があったとは言い難いように思われます。

例えば、前妻との間に子どもがおり、多額の養育費等を負担しているなどの事情がない限りは、婚約破棄の正当事由があるとは認められにくいのではないでしょうか。

もっとも、交際や婚約の条件として、離婚歴のないことを相手方に明示しており、それに応じて離婚歴がないと宣言していたような場合には、重要な事実に虚偽があるといえ、婚約破棄について正当な理由があるとされる可能性もあるかもしれません」(大達弁護士)

 

■婚姻後だったら?

「なお、婚姻後に離婚歴の存在が発覚した場合には、離婚歴を偽っていたことを捉え、詐欺による婚姻取り消し(民法747条1項)をするということも考えられますが、これは詐欺によって、婚姻に重要な事実の錯誤が生じることまで必要があるため、婚約破棄の場合と同様、離婚歴のないことが当事者にとって重要な事実であるといえる場合に限って、取り消しが認められる可能性があると思われます。

仮にそのような場合であっても、離婚歴があることを知ったときから3ヶ月以内に婚姻の取り消しをする必要がありますので、注意が必要です(同条2項)。

婚姻は人生の一大事。大切な伴侶には隠し事なくお付き合いをしたいもの。寒風吹きすさんでおでんの美味しい季節ですが、こんにゃくも婚約も愛情たっぷりの出汁の中でじっくりと育て、味のある二人になって欲しいものです」(大達弁護士)

 

婚歴を隠した人としては、なにか理由があったのでしょうが、伏せておいた事実はいずれ発覚するもの。

打ち明けられた側が未婚にこだわりを持っていた場合は、法的に破棄事由として認められる可能性が高まりますので、やはり事前に説明したほうが良いかもしれません。

 

*取材対応弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)

*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)

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*【Tig.】Tokyo image groups / PIXTA(ピクスタ)

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大達 一賢 おおたつ かずたか 弁護士

エジソン法律事務所

東京都千代田区神田錦町1-8-11 錦町ビルディング8階

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