和歌山県で、知人と共謀し、ひったくりをでっちあげた男性数人に逮捕状をとったことが明らかになりました。
捜査を続けるうちに、ひったくり犯と被害者とされる男性が一緒に歩いている姿が確認され、共犯の疑いが浮上したという本件ですが、法的にはどういった罪になるのか解説します。
■警察は窃盗容疑で逮捕したが……
本件に関して警察は、窃盗容疑で逮捕したそうですが、窃盗罪というのはちょっと違和感が残ります。
最初からお金をかすめる目的で預かったというのであれば、詐欺罪にあたるでしょう。
預かった後にひったくり犯人と共謀したということであれば、預かった人は横領罪。ひったくった人は、被害者(ひったくられた人)の承諾があるとはいえ、違法目的なので承諾は無効となり、窃盗罪となるのかもしれません。
被害届を出した方は、少なくとも書類を警察に提出しているのでしょうから、有印私文書偽造罪、同行使罪。虚偽告訴罪は、あながち虚偽でもないので難しそうです。公務執行妨害罪も、警察官に対する暴行、脅迫があるわけでもないので成立しないでしょう。
なお、本件では組織的犯罪ということではなさそうですので、共謀罪の適用はなく、通常の刑法上で議論される「共謀共同正犯」ということになりますね。
*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)
【画像】イメージです
*EKAKI / PIXTA(ピクスタ)
【関連記事】