季節は秋。「天高く馬肥ゆる秋」という言葉があるように、非常に食べ物の美味しい時期です。なかでも人気が高い食材といえば、サンマではないでしょうか?
焼き魚はもちろん、刺し身や煮魚など、ありとあらゆる調理方法が存在するだけに、愛している人は多いはず。ところが今年はサンマが不良で、その値段がかなり高額になっているようです。
■高額化で工場を閉鎖する企業も
その煽りを受け、水産会社などでは採算が取れず、工場を閉鎖するところも出ているそう。そうなると、従業員は解雇されることになります。
経営者からすれば当然の判断なのかもしれません。しかし、「会社の業績が悪いから解雇」というのは、あまりにも理不尽。このようなこと措置に違法性はないのでしょうか?
ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士にお伺いしました。
■サンマ不漁など業績不振による解雇に違法性はない?
「サンマ漁の不漁は、労働者側の落ち度、非がある事象とは考えられません。したがって、それを理由とする解雇はいわゆる整理解雇にあたります。判例上、①人員削減の必要性、②解雇回避努力義務、③人選の合理性、④手続きの相当性が必要です。
かなりの不漁ということの場合、本当に解雇して人員を削減する必要性があるほどなのか(①)、解雇の他の手段(希望退職等)を努力したか(②)、人選は公正・公平なのか(③)、そして労組や労働者と協議・説明を尽くしたのか等の要件を満たさなければ、解雇は認められません。
工場自体が“休止”ということであり、かつ、争う労働者がいないということの場合、要件を満たしているか、少なくとも納得する程度の協議・説明はあったのではないでしょうか」(森川弁護士)
どうやら業績不振による解雇の場合、いくつかの要件を満たしていない場合は認められないようです。仮に自分が「解雇」されてしまった場合、その適正性を争う余地はあるかもしれません。その場合は、弁護士への相談をおすすめします。
*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中
【画像】イメージです
*Audtakorn / PIXTA(ピクスタ)
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