昨今、偽の旧一万円札(聖徳太子像)を海外で製造し日本に密輸され、使用されるケースが増えているといわれています。旧一万円札は現行のものと比較すると偽造しやすいだけに、一部犯罪集団がつけこんでいるようです。
このような偽札製造はどのような罪に問われるのでしょうか。また、旧札と現行の札では、偽造に罪の違いか出るか否かも気になります。
星野・長塚・木川法律事務所の星野宏明弁護士にお話を伺いました。
■どんな罪になる?
「刑法上148条の通貨偽造罪、偽造通貨行使罪となります。通貨偽造罪の目的は、通貨に対する社会の信用を保護することにあります。
そのため、通貨偽造罪の対象は、“通用する貨幣”とされており、現在でも使用できるとされている旧紙幣の偽造であっても、処罰対象となります」(星野弁護士)
■旧一万円札と現行一万円札と比較すると罪に違いは出る?
「刑法上適用される条文は同じですから、罪名としては同じであり、したがって、法定刑も同じです。
また実際に下される判決についても、旧紙幣であっても現在も通用する以上、現紙幣の偽造の場合と比較して、それだけで有利な情状とはいえないでしょう。
通貨として同じような通用力がある以上は、旧一万円札か現行一万円札かは、情状面で有利にも不利にも(罪が重くなるか軽くなるか)影響はないと思われます。
むしろ、個別事案において、偽造の量や行使の有無、目的といった点が情状面で重要となるでしょう」(星野弁護士)
旧一万円札だからといって罪の重さが変わるわけではないようです。いずれにしても、紙幣偽造はやめるようにしてください。また、偽札を見かけた場合は、直ちに警察に届けましょう。
*取材協力弁護士:星野宏明(星野・長塚・木川法律事務所(旧星野法律事務所)。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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