今月14日、62歳の女性にストーカー行為をしたとして、46歳の女性が逮捕されるという出来事がありました。
同性間のストーカー行為はあまり聞きなれないかと思いますが、どういった行為がストーカー行為とみなされるのかといった点と併せて解説したいと思います。
■どんな行為がストーカー行為に認定される?
ストーカー規制法は、ストーカー行為の規制とストーカー被害者への援助措置について定めた法律です。
ストーカー行為とは、同じ人に対し「つきまとい等」を繰り返すことです。つきまとい等を繰り返した行った場合にストーカー行為として規制されるわけです。
「つきまとい等」とは、好きになった人やその関係者に対して、以下の8つの類型の行為を行うことです。
(1) つきまとい・待ち伏せ・進路妨害・見張り・押し掛け
(2) 監視していると思わせるようなことを告げる
(3) 面会・交際等の要求
(4) 著しく粗野・乱暴な言動
(5) 無言電話・連続電話・ファクシミリ・電子メール
(6) 汚物・動物の死体等の送付
(7) 名誉毀損行為
(8) 性的羞恥心の侵害行為
ストーカー行為をした者は、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる場合があります。
ストーカー被害者は、警察にストーカー被害を申し出ることができ、警察は、ストーカーがさらにつきまとい等を繰り返すおそれがあると判断した場合、ストーカーに対しつきまとい等をしないよう警告することができます。
ストーカーが警察の警告に従わなかった場合、公安委員会は、ストーカーに対し、つきまとい等を止めるよう命令することができます。
ストーカーが公安委員会の命令に違反してつきまとい等をさらに繰り返した場合、ストーカーは、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる場合があります。
また、ストーカー行為規制法は同性間でも適用があります。同性間でもストーカー被害があり得、保護する必要があるからです。
■同性間、異性間のストーカーによる違いは特にはない
ストーカー規制法は、同性のストーカーについて異性のストーカーと異なる規制を設けているわけではなく、特に違いはありません。
ただし、実際上の問題として、同性のストーカーの場合、被害者自身ストーカー被害に遭っていると気づきにくい場合もあるでしょうし、また警察もある程度の事実がないとストーカーとして扱うのが難しいのではと思います。
■警告を無視して繰り返すと逮捕に至るケースも
執拗・悪質なストーカー行為を繰り返した場合です。警察からの警告を無視した場合だけでなく、被害者本人・弁護士等からの警告を無視して悪質なストーカー行為(例 交際中に撮影した裸の写真の送付等)をした場合にも逮捕される可能性はあります。
また、ストーカー行為が脅迫等の他の犯罪にも当たる場合逮捕される可能性は高くなると考えられます。
*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)
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*奥川りな / PIXTA(ピクスタ)
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