医療法改正により病院のウェブサイトにどんな影響が?

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皆さんは病院を探したいと思ったとき、どのようにして探しますか?

きっと、スマホやパソコンでネット検索をするという人が多いのではないでしょうか。その中で、病院のウェブサイトを閲覧される人もいらっしゃると思います。

しかし、そんな病院のウェブサイトの内容が今後はガラリと変わるかもしれません。

 

■これまで、病院のウェブサイトは法律の規制の対象外だった

病院の広告は、医療法という法律とその関連法令によって、その内容に規制がかけられています。具体的には、虚偽広告の禁止、比較広告の禁止、誇大広告の禁止、広告可能な事項の限定などです。

しかし、これまで病院の“ウェブサイト”は、このような規制の対象外とされてきました。それは、規制の対象となる広告は、以下の3つの要件を満たすものに限られていたからです。

(1)患者の受診を誘引する意図があること(誘因性)

(2)病院名が特定可能であること(特定性)

(3)一般人が認知できる状態にあること(認知性)

このうち、(3)の認知性とは、特に病院に興味がない人の目にも広告が飛び込んでくる状態のことを指します。そうすると、ウェブサイトは自分で検索して見つけ出さないとその人の目には飛び込んできませんから、広告に当たらないとされていたのです。

 

■医療法の改正によりウェブサイトも規制の対象に

しかし、インターネットの普及とともに、特に美容医療関係について、病院のウェブサイトに関する消費者トラブルが増加してきました。その結果、病院のウェブサイトについても、国から「医療機関ホームページガイドライン」が公表され、その記載について指針が示されましたが、法的拘束力はありませんでした。

その結果、今年の国会で、医療法の改正が行われ、遅くとも来年の6月には、病院のウェブサイトも広告規制の対象に含まれることになりました。

一方で、上記のように、広告規制の内容として広告可能な事項が限定されているのですが、これをそのままウェブサイトに当てはめると、有益な情報まで記載できなくなってしまうとの懸念があります。

そこで、ウェブサイトについては、今後の議論で、広告可能な事項が広げられることになっています。その結果によって、今後病院のウェブサイトの内容がどの程度変わるかが決まることになるでしょう。

 

■病院がウェブサイトを作成する際の注意点

医療法が病院の広告を規制しているのは、(1)医療は人の命にも関わるものであるため、不当な広告によって不適切な医療を受けたりすると、大きな被害が発生する可能性があること、(2)医療は専門的な分野であり、人々が病院の広告から何が良い治療かを取捨選択することは難しいことが理由です。

そのため、今後は病院のウェブサイトに対する行政からの指導も厳しくなってくるでしょう。これから病院のウェブサイトを作成する際には、きちんと医療法による広告規制に違反しない内容を記載していく必要があります。

 

*著者:弁護士 成 眞海丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士。取り扱い分野は、離婚から企業法務まで幅広く対応。)

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*saki / PIXTA(ピクスタ)

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