7月11日、京セラドーム大阪で練習中のオリックス・バファローズ中島宏之選手に鉄パイプが落下。右腰から背中に当たるという事故が発生しました。
幸い、中島選手は命に別状なく軽症でしたが、一歩間違えれば大事故だっただけに、衝撃が広がりました。ちなみに、原因は広告を取り付ける作業をしていた作業員が誤って落としてしまったためだったそうです。
このようなケースでは死亡事故も発生しており、社会問題化しつつあります。仮に作業員の過失で人を死傷させてしまった場合、「誰が、どのように」責任を取ることになるのでしょうか?
ともえ法律事務所の寺林智栄弁護士に見解をお伺いしました。
■責任は誰がとる?
「最近増えている工事現場の落下事故。落ちてくるのは鉄パイプや工具など、当たれば命に関わるものばかりです。落下させたことについて、誰がどのような責任を問うのか考えてみたいと思います。
落下によりけがをした人、被害者が亡くなった場合にはその遺族は、もちろん実際に落下させた人に過失があれば、損害賠償を請求できます。治療費や慰謝料等々が含まれます。
ただ、落下させた本人は莫大な賠償金を支払えるだけのお金を持っていないことも少なくありません。そこで、法律上は使用者責任、代理監督者責任というものが認められており、建設会社の社長や現場監督などにも責任を追及することができます」(寺林弁護士)
■犯罪は成立する?
「業務上の注意を怠った結果このような事故が起こったということであれば、業務上過失致死傷罪が成立する可能性があります。これも、事故を起こした本人だけでなく、社長や現場監督にも成立する可能性があります。成立すると5年以下の懲役刑もしくは禁固刑、又は100万円以下の罰金に処されることとなります。
東京オリンピックも近くなり、首都圏では大規模な工事が増えています。一度事故が起きれば重い責任が課されることとなります。工事関係者の皆様には、十分な注意をお願いしたいものです」(寺林弁護士)
厳しい環境での作業は非常に大変だと思いますが、事故が起きないよう十分に注意してもらいたいものですね。
*取材協力弁護士:寺林智栄
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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