豊田議員が、自動車内で日常的に秘書を罵倒していたと思われる問題は、連日ワイドショーなどで音源が公開され、有権者に驚きを与えています。
問題は現在罵倒を受けた秘書が暴力行為を受けていたとして、警察に被害届を提出。今後、捜査が進められる模様です。
暴行罪はもちろんですが、車内で身体的特徴を揶揄する、「家族に危害を加える」などと、脅しているとも思える音源が公開されており、名誉教授や侮辱罪に問われるのではないかとの指摘もあるようです。
今後どのような展開になっていくのか。法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士にご意見を伺いました。
■どのような罪になる?
「本件では、恫喝しているということですが、あくまで罵倒を繰り返しているだけということになり、かつ、車内という閉鎖空間におけるものであるため、名誉毀損や侮辱には当たりません。
なお、現時点では音声が公開されているため、形式的には名誉毀損などに当たる可能性はあるといえますが、被害者が自ら公開しているといえるため、違法性がないということになります。
また、何か危害を加えることを言っているというわけでも必ずしもないため(子どもを轢き殺す云々といったことも言っていたように思いますが、比喩的なものとして使っているように思われるため)、脅迫に当たるかという点についても疑義があります。
したがって、刑事上問題にすることができるとすれば、被害届が出されている暴行罪か、実際に怪我をしていれば傷害罪によるしかないと思います」(清水弁護士)
現在公開されている情報をみるかぎり、名誉毀損や侮辱には当たらず、脅迫についても罪に問える可能性は低く、暴行罪や傷害罪が有力であるようです。
■密室でのハラスメントを受けたらどうするべき?
今回の件に限らず、密室でのパワハラやセクハラなどのハラスメントを受けることは、稀にあります。そんなとき、どのように対処し、その有無を立証していくべきなのでしょうか?
同じく法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士に聞いてみると……。
「本件のようなパワハラは、密室で行われることが多いため、ICレコーダーなどでその様子を録音する、隠しカメラなどを設置して録画するなどして立証するしかないと思われます。
また、当該被害を受けている状況を第三者が見ている場合は、その人に証言をしてもらう、ということも考えられます。ただし、証言よりも、より客観的な証拠である録音・録画の方が証拠としての価値が高いと判断されるでしょう。」(清水弁護士)
やはり録音や録画をして「動かぬ証拠」をとっておくしか、密室でのハラスメントを立証する手段はないようです。
ただし危険が伴いますので、「密室でのハラスメント」に悩んでいる方は、弁護士に相談し、対策を協議したうえで、行動に出ることをおすすめします。
*取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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*EKAKI / PIXTA(ピクスタ)
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