首都圏や近畿、東海圏などでは、電車の利用客数が多く、ラッシュ時間帯に人が殺到するため、トラブルや人身事故などが発生し電車が遅延することが多々あります。
そうなると、会社の始業時間に間に合わなくなってしまうもの。多くの人は遅延を見越した時間に出勤しているとは思いますが、大幅に遅れてしまうと、どうしようもなくなってしまいます。
通常そのような場合「遅延証明書」を会社に提出し「正当な遅れ」であることを主張するのですが、その取扱は会社によって異なるようです。
一般的には「正当な遅れがある遅刻」として遅刻扱いにはならないものとされていますが、なかには有無を言わさずなにがあろうと「時間に遅れた場合は遅刻扱い」として処理する会社もあるといわれています。
本来、電車の大幅遅延という「どうしようもない」理由なのですから、遅刻扱いするのはおかしいのではないでしょうか? 法律事務所あすかの冨本和男弁護士にお話をお伺いしました。
Q.電車の大幅遅延で「遅延証明書」も提出したのに「遅刻扱い」。これは法律違反ではありませんか?
A.遅刻扱いとしても問題はありません。
「電車が大幅遅延し、遅延証明書の提出があった場合でも「遅刻扱い」としていいことになります。
労働者が提供した労務の提供に対して、使用者が給料を支払うわけです。確かに、電車遅延の場合遅刻は労働者の責任ではありませんが、使用者の責任でもありません。
こうした労働者の責任でも使用者の責任でもない場合、労務の提供がない以上、使用者は遅刻した分の給料を支払わなくてもいいわけです」(冨本弁護士)
どうやら電車大幅遅延時の対応は、会社の裁量に任されているようです。労働者のことを考えると、やはり遅刻扱いしないほうが良いようにも思えるのですが……。
*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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*hamazou / PIXTA(ピクスタ)
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