フレッシュな新入社員が研修を終え、各部署に配属される時期です。新規の契約社員やバイトが入ったところもあるでしょう。若い女性が職場にあふれるこの季節、新たにセクハラの対象となってしまう人も……。
世間でさんざん訴えられたりしているのに、いまだにセクハラが無くなっていない現実に唖然としている方も多いのではないでしょうか?
ここで今一度、セクハラと認定されるのはどういう行為なのかを、ともえ法律事務所の寺林智栄弁護士に確認の意味でお聞きします。
「セクハラとは、一般的に会社内において、上司が、その地位を利用して、社内の女性(社員だけでなく、パートや派遣社員なども含みます)に対して性的に嫌悪感を抱くようなことをいったり、あるいは性的関係を強要したり、身体を触ったりする行為を指します。
女性が関係を拒否したり、言動をやめるよういったりした場合に、業務上の不利益処分(減給、配置転換、場合によっては解雇)を科したり、匂わせたりするようなこともあります」
そうしたセクハラは犯罪に当たるのか、というと、寺林弁護士によれば基本的には労働問題なのだそうです。
「セクハラの全てが犯罪に該当するわけではないのです。ただし、悪質なケースで犯罪に該当するとすれば、脅迫罪、強要罪、強制わいせつ罪などが挙げられるでしょう」
■セクハラ被害の苦しみはどこに訴えればいいの?
では、セクハラを訴えるとすると、実際はどこに相談するべきでしょうか?
「社内に相談窓口がある場合は、そこに相談してください。
窓口がない場合、会社がまともに取り合ってくれない場合には、労働基準監督署に相談窓口がありますので、そちらに相談してください。
また、弁護士に相談して、慰謝料請求等をすることも考えられます」
■会社が取り合わなければ辞める覚悟も必要
相談する場合、音声や映像など証拠があると自分の被害を訴えやすくなります。しかし、実際に記録を残しにくいのがセクハラ、と寺林弁護士は言います。
もし録音などが可能ならセクハラ発言を記録に残し、さらにセクハラされたらその日時とセクハラの内容を具体的に記録して残しておくと良いとのことです。
では会社としてセクハラ防止のためにどういう取り組みをするべきでしょうか?
「なかなか難しい問題ですが、会社内に相談窓口がない場合にはこれを作ることです。
社内で、男性と女性が二人きりになる状況を作らない、悪い噂のある社員と女性を同席させないなどの取り組みが必要だと思います。
社長自らがセクハラをしているような小規模オフィスの場合には、社長を相手どって慰謝料請求などとするしかないと思います。
この場合は、不本意だと思いますが、会社にいづらくなることもあるので、退職する覚悟も必要かもしれません」
会社のセクハラが絶望的な状況で、改善も認められない場合は、労働基準監督署に相談してみましょう。それでも駄目なら弁護士さんに相談を。
*取材協力弁護士:寺林智栄
*取材・文:梅田勝司(千葉県出身。10年以上に渡った業界新聞、男性誌の編集を経て独立。以後、フリーのライター・編集者として活躍中。コンテンツ全般、IT系、社会情勢など、興味の赴く対象ならなんでも本の作成、ライティングを行う。Twitterアカウントはこちら)
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