「退職勧奨」という言葉をご存知でしょうか? 文字通り会社が従業員に対して(その従業員の成績不振、勤務態度の悪さなどを理由として)自主的に退職をするように勧める行為を言います。
一方的に雇用契約を会社側から解除する解雇と異なり、退職勧奨はあくまで会社から退職を勧められているに過ぎないため、従業員本人としては必ずしもこの勧めに従う必要はありません。
しかし、退職勧奨を断ったことを理由に会社側(上司)からパワハラを受けるようになった場合、何か対処策はあるのでしょうか?
Q.退職勧奨を断ったらパワハラ……どう対処すれば?
A.加害者(上司など)本人や会社に対して損害賠償請求できる可能性があります。
そもそもパワーハラスメント(パワハラ)とは、職場の地位の違いなどを背景に、「業務上適切な範囲」を超えて精神的・肉体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為のことを指します。
暴言・暴行などはもちろんですが、仕事をさせてくれない、仕事量が急激に増えるなどの行為もパワハラに該当します。
パワハラを受けた場合、まず考えられるのは民法を根拠とした損害賠償請求です。上司などパワハラの加害者本人に直接損害賠償請求ができるだけでなく、会社がパワハラに加担していたり、パワハラを黙認していたりする場合には、会社に対しても損害賠償請求を行うことができます。
また、パワハラによってうつ病などの精神疾患を発症してしまった場合には、「業務災害」として労災保険から給付を受けられる可能性もあります。
ただ、パワハラを受けたことを自ら立証しなければならないため、パワハラを受けた場合にはできる限り音声や書面などでどんな行為を受けたのか記録を残すことが必要になってくるでしょう。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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