新社会人のみなさん、就職おめでとうございます。
新しい環境に、わくわくしている方もいらっしゃれば、不安を抱えている方もいることでしょう。
入社後まもないうちは、出来ることも少ないので、研修をしつつ、少しずつ仕事を覚えていくことになると思いますが、「他に出来ることが無いんだから朝くらい早く来い」などと言われ、早朝の出社を強いられている方もいるかもしれません。
今回は新入社員の洗礼ともいえる「新入社員は朝早く出社しろ」というフレーズの問題点について考えてみたいと思います。

*画像はイメージです:https://pixta.jp/
■早朝出勤も時間外労働になることがある
「時間外労働」というと、就業時間後に夜遅くまで残ってやる「残業」のみが対象になるというイメージがありますが、そうではありません。
労働事件に該当するかどうかは、「使用者の指揮命令下にあるかどうか」で判断されます。
ですから、始業時間前に出勤して業務を行っていることが「使用者の指揮命令下」でのことと判断されれば、残業と同様に時間外労働として、時間外手当の支給対象となる可能性があります。
なので、前日の就業時間間際に翌日締め切りの仕事を上司から命じられて翌朝早朝出勤するケースや、他の社員の出勤前に新人が当番制で事務所内の清掃をしておくよう上司から命じられるケースなどは、時間外手当の支給対象となります。
■早朝出勤の無理強いは、「パワハラ」になる可能性も
例えば、業務上の必要もないのに「新人は誰よりも早く職場に来るのが当たり前。来ないやつは、クビだ」などと言って、意味のない早朝出勤をさせるケース、早朝出勤を一度怠ったがために、「お前は無能だ。早起きもできないのか」などと暴言を吐いたり、名前を社内に張り出したりするケース、社内で仲間はずれにするようなケースは、全て「パワハラ」に該当する可能性があります。
このようなケースでは、パワハラをされた側がした側に対して、損害賠償を請求することができます。
精神的な苦痛に対する慰謝料、嫌がらせを受けたことが原因で精神疾患になり治療を受けた場合にはその治療費などを損害として請求することができます。
■パワハラをする企業はまだまだある
先にあげたようなケースがあるなんて信じられないという方も少なくないかもしれません。
しかし、ワンマン経営者が幅を利かせているような企業や、旧態依然とした会社では、案外、このような「新人は先輩の言うことを何でも聞いて当たり前」という風潮が今でもあるようです。
雇う側も雇われる側も、雇用のルールを正しく理解して、トラブルが少ない働きやすい職場づくりをしていただければと思います。
*この記事は2015年4月に掲載されたものを再編集しています。
*著者:弁護士 寺林智栄
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*Satoshi KOHNO / PIXTA(ピクスタ)
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