高速道路を走行中、「ビシッ!」と音がしてフロントガラスに穴が開いたり、ヒビが入る“飛び石”。放置するとヒビがどんどん伸びていき、いつ粉々になるかとヒヤヒヤします。
結局は、任意保険を適応してフロントガラスを交換となるのですが、3~5万円程度を自分が払い、残りを保険で賄うケースで等級を下げずに済むようです。
とはいえ、この出費は痛い!
飛び石被害は避けようがなく、せいぜいがトラックの真後ろをできるだけ走らないようにするくらいしか手がありません。
なんとも悔しい話ですが、この飛び石事故、石を飛ばした側に責任はないのでしょうか?
弁護士法人プラム綜合法律事務所の梅澤康二弁護士にお聞きすると……
「飛び石事故は、罪で言えば器物破損罪が考えられますが、器物破損罪は故意犯であることが前提です。飛び石のような予想外の過失による場合は不可罰になります」(梅澤弁護士)
飛び石で後ろの車を傷つけようと思って走っている車はそうそういないですよね……。それに荷台からでなく、路面の石を弾いて飛ばしてしまう場合もあり、飛び石事故は、ほとんど運みたいなものです。
■ドライブレコーダーで経緯とナンバーを記録していたら?
しかし、最近の車ではドライブレコーダーを搭載して動画記録している場合も多いでしょう。もし、石が前を走るトラックの荷台から飛んできてビシっと自分の車を直撃、さらにトラックのナンバーも分かったとしたらどうでしょうか?
記録をつきつけて、相手の保険、もしくは自費で交換させてやりたい!
「相手の責任を問うのは難しいと思います。飛び石は自動車の走行によって、不可抗力的に生じるものですし、ドライバーは荷台や路面の小石のすべてを把握していませんので、相手の過失を認定するのは困難です」(梅澤弁護士)
そもそも保険会社に申し立てようと思ったら、その場でトラックも止めて警察を呼ばないと行けません。もし望めるとしたら、相手のドライバーがすごくいい人で「そりゃ悪かったなあ、兄ちゃん、まあこれで許してくれや」といくらか渡してくれ、その場で示談というパターンがあればラッキー、というところでしょうか。
梅澤先生によれば、飛び石事故で訴えを起こすことは可能だそうですが、過失認定が難しく現実的ではないそうです。たとえ記録されていても前述のとおり、器物損壊罪に問えないでしょうし、警察を呼んで事故検証してもらったところで、あまり意味は無いそうです。
■トラック荷台の積載物が飛んできたら話は別!
では、とんできたのが飛び石でなく、トラックの荷台に積んであったパイプや、クズ鉄、その他なんだかよくわからないが固くてデカイものだった場合は? その様子はドライブレコーダーでしっかり記録していたとします。
フロントガラスどころか、車体や自分の身体にもダメージを負いかねない、危険なケースです。
「事故が不可抗力的なものではなく、荷台の管理に不備があって(固定が万全でない、過搭載など)落下物が生じた場合であれば罪に問えるでしょう。荷台管理に不備がある場合、不可抗力を主張することが難しいので、相手の過失は認定しやすいと言えます」(梅澤弁護士)
とはいえ、飛び石を超える荷物の落下事故は、最悪、自分も大怪我をしかねません。危ないトラックがいたら、さっさと抜いて先に出るのがいちばんかもしれません。
*取材協力弁護士:梅澤康二(弁護士法人プラム綜合法律事務所。東京都出身。2008年に弁護士登録。労働事件、労使トラブル、組合対応、規定作成・整備などのほか各種セミナー、労務問題のリスク分析と検討など労務全般に対応。紛争等の対応では、訴訟・労働審判・民事調停などの法的手続きおよびクレーム、協議、交渉などの非法的手続きも手がける。M&A取引、各種契約書の作成・レビュー、企業法務全般の相談など幅広く活躍。)
*取材・文:梅田勝司(千葉県出身。10年以上に渡った業界新聞、男性誌の編集を経て独立。以後、フリーのライター・編集者として活躍中。コンテンツ全般、IT系、社会情勢など、興味の赴く対象ならなんでも本の作成、ライティングを行う。)
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