最近は徐々に暖かくなっており、春はもうすぐそこまで来ているようです。窓を閉め切り暖房をつけ走行していた自動車も、温暖な日は窓を開けて外気をいれながら走行することが増えてきました。
目的地に到着し、車から降りたとき、つい窓を開けっ放しで出てしまった。盗難の可能性があるため、かなり危険な行為ですから、このようなことはほとんどないと思われます。しかし、人間ですからそのようなこともたまにはあるでしょう。
そんな「ウッカリ」が違法になるらしいのです。「窓を開けて駐車するだけで違法」とはにわかに信じられませんが、本当なのでしょうか?
エジソン法律事務所の大達一賢弁護士に見解をお伺いしました。
Q.駐車時に窓を開けっぱなしにして車を離れたら違法になる場合があるって本当ですか?
A.本当です。
「暑い時期や空気の入れ替えのために窓を開けて自動車を運転したことのある人は多いのではないでしょうか。
そんなとき、ちょっとした用事を済ませるために車から離れる場合に、窓を閉め忘れていた、なんて人も少なくないはず。しかし、実は、窓の閉め忘れは道路交通法に違反する可能性があるのです。
道路交通法第71条は“運転者の遵守事項”について規定しており、同条第5号の2は、『自動車又は原動機付自転車を離れるときは、その車両の装置に応じ、その車両が他人に無断で運転されることがないようにするため必要な措置を講ずること』としています。
つまり、“他人が勝手に運転しないように、車から離れるときには施錠や防犯対策をしっかりしなさい”ということです。
今回のように窓を閉め忘れただけの場合には、基本的には他人が運転する危険がそこまで大きいとはいえませんが、キーを社内に残している場合やキーレス自動車で何らかの操作方法によりエンジンが始動できるような場合にはある程度の危険があるといえそうです。
なお、この義務に違反したからといって、罰則や行政処分を受けることはありません。しかし、車上荒らしに遭う危険性や車そのものを盗まれる危険性がある上、その車で事故を起こされた場合には、民事上の損害賠償責任を負う可能性もあります。
春も近く、心も軽やかでオープンになりがちですが、自宅も自動車も戸締りはしっかりと。思いがけない出費を余儀なくされないためにも、窓の閉め忘れには十分注意しましょう」(大達弁護士)
窓の閉め忘れは犯罪や余計な出費を招きかねませんから、しっかりと閉めるようにしておきたいですね。
*取材対応弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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*sabmix / PIXTA(ピクスタ)
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