経営状況が悪化に伴う「内定取り消し」…どう対処すればいい?

ここ最近は学生の就職活動は「超」とも言える売り手市場が続いているため、あまり聞くことは少なくなりましたが、2010年前後はリーマンショックや震災による影響で学生の就職活動は難航を極めており、更には卒業間近になって業績悪化を理由に「内定取り消し」を言い渡されるという事例が頻発していました。

2017年現在では就職活動そのものは当時に比べると楽になったとはいえ、個別企業の経営状況は何ともいえませんから、ある日突然「内定取り消し」を言い渡される可能性が全くゼロとは言い切れません。

もし内定取り消しを言い渡されてしまったら、法的にどう対処すればいいのでしょうか?

 

Q.内定先からまさかの「内定取り消し」連絡が……法的な対処法は?

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A.「解雇」と同様の取り扱いとなり、単に業績悪化を理由とするだけの内定取り消しは「無効」となる可能性が高いといえます。

まず前提として、今回のケースの内定は口約束だけの内々定などではなく、入社承諾書などを提出し、入社日も決定しているものとします。そのような場合、法的にはすでに「雇用契約」が成立しているものと判定されるため、単なる内定取り消しではなく「解雇」と同様に取り扱うべき問題になります。

法律上、合理的な理由のない解雇は無効とされますが、今回のケースではいわゆる「整理解雇」に該当するものになります。

整理解雇の場合、「合理的」な理由があるかどうかは本当に人員整理を行う必要があるのか、解雇以外の選択肢はないのか、解雇するとしてなぜ既存の社員ではなく内定者なのか、などのロジックが明確化されなければ解雇は合法となりません。

また、入社日前から内定を取り消すような危ない企業に入社するのはそもそも嫌だなと感じるのであれば、解雇の無効を争うのではなくいきなりの内定取り消しに伴う損害賠償を請求するのも手段の1つであるといえます。

 

*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。

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