皆さんは裁判を経験したことがありますか?
21世紀に入ってからの日本での訴訟件数は2003年の約612万件をピークに年々減少しており、2015年の訴訟件数は約350万件となっているようです(裁判所データブック2016より)。
年々訴訟の件数は減少しているといっても、いつ被害者になって(もしくは加害者になって)、裁判沙汰に巻き込まれるかも分かりませんから、どういった弁護士が良いのか知っておきたいところではないでしょうか?
そこで、今回はシェアしたくなる法律相談所にて執筆されている弁護士の方々から、「良い弁護士」とはどういった弁護士なのか、コメントをいただきました。
■河野晃弁護士
非常に難しい質問ですね(笑)
「良い弁護士」というのは、多様な評価を含む表現ですので、「自分が頼むとしたらどういう弁護士か」という視点で答えたいと思います。
仮に僕が、法的知識が無い状態で法的トラブルの当事者になり、弁護士に依頼しようとする場合、まずは何よりも「きちんと話ができる弁護士」、「話が分かりやすい弁護士」、「何でも話せる弁護士」……、そういう部分を重視します。
一度、弁護士に案件を依頼すると、多くの場合、数か月から場合によっては1年以上の付き合いになります。事件に関する事情聴取や進め方に関する打ち合わせなど、何度も何度も話をする機会があります。
もし、依頼した弁護士が話しにくい人で、言いたいことも言えない、話を聞いても何を言っているか分からない、分からないことを気軽に聞けない……。
こういうことが続き、うまくコミュニケーションが取れないと、重要な事実を伝えきれなかったり、お互いが勘違いしたまま話が進み、結果として良くない結果となってしまいます。また、弁護士と依頼者との間でトラブルに発展することにも繋がります。
「ほんとにそんな人いるの?」と思われるかもしれませんが、弁護士も人間ですので、色んな人がいます。また、ある人にとっては合う人でも、別の人からすれば合わないということも有り得ます。
あくまでも、「自分にとって」という意味で、コミュニケーションの取りやすさは、良い弁護士選びの第一歩だと思います。
■星野宏明弁護士
いろいろな基準がありますが、実際に選ぶ際には、処理方針や人柄が自分と合うかどうか、という点が一番のポイントと思います。
弁護士業務の中にも専門性が高い分野もありますが、たとえば離婚や交通事故など一般の方が依頼することになるような事件は、普通はどの弁護士でも扱うことができます。
よほど特殊な事件でない限り、HPに書かれた宣伝文句よりも、まずは一度相談で面会して、処理方針や人柄が自分とマッチするかどうかに気をつけたほうがよいでしょう。
訴訟などは解決まで数か月から年単位で時間がかかり、その間、弁護士と協同して解決に向けて動くことになります。
よく話を聞いてくれる方がいいのか、逆にてきぱきと方針を明確に示して決めてくれるほうがよいのかなど、弁護士によって事務処理の傾向は異なります。
近年はインターネット経由の問い合わせをする方も増えていますが、実際に面会したときに感じた自分の感覚も大事にするのは重要です。
■小野智彦弁護士
まずは、相談者の話の腰を折らずに、最後まで話を聞いてくれること、フットワークが軽いことが、相談者にとって良い弁護士の共通点だと思います。
そして、一方的に相談者の話を鵜呑みにしないで、最悪のケースも示し、安請け合いをしないことも重要です。
何よりも、相談者を勝たせるという側面よりも、どうやったらこの紛争が治るかということに重点を置いて話をしてくれるか、ということも重要なポイントです。
過去の事例(特に自分で扱った事例)ではどうなったとか、相手方としてはどんな反論が予想されるのか、など色んな角度から検討し、落とし所を見つけ、相談者の目標値を設定してくれるような方が信頼できるかと思います。
相談者の不安を少しでも消し去るよう、終始笑顔でいてくれたり、会話の中に冗談を交えてくれるような方だとなおよろしいかと思います。
最終的には、弁護士との相性が何よりも一番です。話をしやすそうな方、ご自身と考え方や感覚のあった方を選べば、問題ないかと思います。
3名の弁護士にコメントをいただきましたが、やはり「自分に合うかどうか」が大切なようですね。
読者の皆さんが相談される際には、この点を意識してみてはいかがでしょうか?
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*Graphs / PIXTA(ピクスタ)