現在お勤めの会社での長時間労働に耐えきれず、退職を考えられておられる方も多いのではないでしょうか。すぐに次の転職先が見つかればいいのですが、そうでない場合は貯蓄や失業給付などを頼りにしなければなりません。
ただ、長時間労働が嫌になって辞める、というのは一見すると自己都合退職のようにも見えます。雇用保険は自己都合退職の場合失業給付がすぐに出ない(最大3ヶ月待ち)ことがあります。そうなってしまうと、失業給付の受給は諦めるしかないのでしょうか。
Q.長時間労働が嫌で会社を辞めても失業給付はすぐ貰えないの?
A.残業時間によっては「自己都合退職」扱いにならず、すぐに失業給付がもらえる可能性があります。
実は残業時間数によっては形式上自分から願い出て自己都合退職をしたとしても、雇用保険上は「会社都合」として取り扱われる場合があります。それは以下のいずれかに該当するケースです。
(いずれの場合も離職前の6ヶ月の期間で)
(1)3ヶ月以上の期間連続して月45時間を超える時間外労働があった場合
(2)2ヶ月以上の期間連続して平均月80時間を超える時間外労働があった場合
(3)1ヶ月で月100時間を超える時間外労働があった場合
これらに該当する場合、雇用保険上「特定受給資格者」という特別待遇(?)を受けることができるため、待機期間なしですぐに失業給付を受けることができます。
また、もしサービス残業などで会社の出勤簿ではこれらの時間外労働が証明できない場合は、自分で退勤時間をメモとして残す、深夜にメールのやり取りをした記録があればそれを印刷するなどの方法で時間外労働をしていたことを証明することができます。このような場合、未払いになっている残業代もこれら証拠を根拠に請求することも可能です。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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