今年もこの季節がやってきました。大学入試センター試験が今週末に行われます。僕もさかのぼること十数年前にこの試験を受け、奇跡的にそれまでに取ったことが無いような点数を取れたことが今後の人生を大きく変えたように思います。
このような大事な試験ということもあってか、2006年~2015年までの過去10年間で2件の替え玉受験を含む65件の不正行為が発覚しています。
■替え玉受験とは
替え玉受験とは、受験者以外の者が受験者本人になりすまして試験を受けることです。もちろん、許される行為ではありません。これが発覚した場合は、当然ですが受験資格を失うことになるでしょう。
■替え玉受験は法律上どういった扱いになるのか
「替え玉受験をした場合にどのような罪が成立するか」については、(だいぶ前になりますが)司法試験の受験の際に勉強したテーマです。結論からいえばこのような場合、「私文書偽造・同行使罪」という二つの罪が成立します。
前者は、本来受験すべき人(受験票に名前がある人=受験者)ではない人(回答作成者)が試験の回答を作成したということから、文書の偽造をしたという扱いになります。後者は、偽造した文書(答案)を試験機関に提出した場合に、その偽造文書を行使したという扱いになります。
なお、これらの罪の成立については、「名義人(受験者)の承諾があるので罪には問えないのではないか」という批判のあるところですが、承諾があるといってもそもそも違法な目的なので承諾が有効とはいえません。
したがって、やはり罪は成立すると考えるべきです。この場合、犯罪の実行行為者は回答者(替え玉を頼まれた人)ですので、その点ご注意ください。もちろん、頼んだ側(本来の受験者)も共犯として罪には問われますけどね。
■過去の替え玉受験はどうなった?
過去に替え玉受験が問題となったケースとしては、某芸人の息子が替え玉受験をさせたことで有名な明治大学受験替え玉事件があります。この事件では20人が替え玉受験に関与していたことが発覚し、そのうち3名が逮捕にまで発展しました。
この明治大学の例でもわかると思いますが、センター試験であれ、大学受験であれ、替え玉受験をすれば上記の犯罪が成立する点に何の違いもありません。それどころか、高校入試、中学入試、資格試験等その他の試験でも同じです。いい点数を取りたい、合格したいという気持ちは分からなくはないですが、替え玉受験は犯罪ですので絶対にしないでください。
*著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活7年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)
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*tabiphoto / PIXTA(ピクスタ)
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