政府が会社員の副業を推進することが最近ニュースで話題になっていますが、多くの会社では副業を就業規則などで「禁止」としているところが多いものです。
そうすると政府の意向と会社のルールが対立してしまうことになってしまいますが、そもそも従業員の副業を会社が禁止することは法的に許されるのでしょうか?
Q.「副業全面禁止」という会社のルールは違法じゃないの?
A.違法です。会社は従業員の終業後のプライベートな時間にまで干渉する権限を持ちません。
実は就業規則による副業禁止は法的にはあまり意味がありません。なぜなら、従業員が終業後何をするかはその人の自由なので、プライベートな時間にまで会社が口出しをして副業を禁止するという権利は会社にはないのです。
よって、副業が禁止されている会社であっても副業することは全く問題ありません。(その事実を以ってして会社が懲戒処分を下したとしても、それは「無効」な処分です。)
ただし、副業をする上では気をつけるべき点がいくつかあります。まず、副業によって本業がおろそかになってしまうことです。深夜に副業としてアルバイトをした結果、就業中に居眠りをしたり遅刻をしたりするようでは、会社にちゃんと労務を提供する義務を怠っているということになります。
また、本業で得たノウハウを勝手に持ち出して自分でビジネスを始めることは会社の機密情報を不当に流出させることにも繋がるためNGです。これらのような場合には副業をしていることによって懲戒処分を受ける可能性があることに注意しておきましょう。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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