昨年12月17日、兵庫県川西警察署の巡査部長が覚醒剤所持容疑で逮捕されるという事件が発生。警察官にあるまじき行為だけに、国民から怒りの声が噴出しています。
このほかにも盗難、わいせつなど警官による犯罪が多発。大多数の警察官は真面目にその職務を遂行しているものと思われますが、犯罪を取り締まる側であるだけに1人でもそのような人間がいることは許されません。
本来なら、権力を持つ警察関係者の犯罪は一般人よりも罪を重くする必要があるようにも思えます。実際のところそのようなことはあるのでしょうか?
桜丘法律事務所の大窪和久弁護士に見解を伺いました。
Q.警察官が逮捕されたら…罪の重さはどうなるの?一般人より重くなるケースってある?
A.事件によりますが、重くなることもあります
「警察官が職権を濫用して人を逮捕監禁した場合には特別公務員職権濫用罪(刑法194条)が適用され、6月以上10年以下の懲役または禁錮刑に処されます。
一般人が逮捕監禁を行った場合にも逮捕監禁罪が適用され3月以上7年以下の懲役に処されますが、警察官の方が重く処罰されることになります。
また、警察官が被告人被疑者に対して暴行等行った場合には、特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条1項)が適用され、7年以下の懲役または禁錮刑に処されます。
一般人の暴行の場合にも暴行罪が適用され2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処されることになりますが、警察官の方が重く処罰されることになります。
また、警察官が被告人被疑者に対して暴行等行い死傷させた場合には、通常の傷害・傷害致死罪と比べて重い刑により処断されることとなります(刑法196条)。
上記のように明文で警察官を重く処罰する規定のない犯罪については、量刑をどうするかについては裁判官の判断によりますが、一般的には警察官であることは刑を重くする理由に該当するのではないかと思います」(大窪弁護士)
ケース・バイ・ケースですが、警察官がその立場を利用して犯罪を起こした場合は、一般時よりも罪が重くなるようです。
*取材協力弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。)
*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)
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