株式会社DeNAの医療サイト『WELQ(ウェルク)』が無断転載や誤情報を拡散した問題を口火となり、キュレーションメディアのトラブルが世間を騒がせています。
その流れで、LINE株式会社が運営する『NAVERまとめ』に対して、記事を無断転載された側からの削除依頼への対応がどうなのか疑問を呈する記事「なぜ無断転載された側に手間を要求? 「NAVERまとめ」の“トンデモ”削除対応、理由を聞いた」を『ねとらぼ』が配信し、話題になっています。
LINE社の対応に具体的にどのような問題があったのか検討してみましょう。
■本人確認は必要不可欠
記事では削除依頼をしたところ、LINE社から下記2点を求められたと報じられています。
(1)権利を侵害しているNAVERまとめの画像・テキストのURLを指定すること
(2)出典のURLに、「このページ内の画像をNAVERまとめに転載することを禁止します」など、転載禁止の旨を追記すること
まず、(1)については、削除依頼を受けた側としても、どこが問題の記載があるか分からない以上、極めて正当な要求でしょう。
ただし記事によると、削除をLINE社に依頼した側としては、最初から「出典URLと無断利用されたNAVERまとめのURLも添えた」ということなので、この点を改めて要求されるのはおかしいといえます。
次に、(2)については、「申告者が本人かを確認するため」にしていたようですが、本人確認の方法はこれ以外の方法でも十分可能であり、なぜNAVERまとめだけ特別扱いするような記載をしなければ行けないのかという点で、必ずしも適切とは言えないと言えると思います。
もっとも、著作権者以外からの請求に応じる理由はないため、確認は必要不可欠であり、何らかの本人確認のための手間を惜しむことはできないといえます。
“侵害された側が負担を負うことが不当”という素朴な感情は理解できるのですが、自分の権利を守るためには、自分からきちんと主張立証をしていくことが必要なのです。
■削除依頼ステップが明示されていない?
また記事によると、削除依頼フォームの場所が分かりづらく、「出典ページ上に確認番号を記載する」ということは明記されていないと指摘されています。
個人的な感想と経験を言えば、削除依頼フォームはまとめの一番下に表示されているので、必ずしも分かりづらいとはいえないのではないかなと思っています。
他方で、「出典ページ上に確認番号を記載する」という点はたしかに明記されておらず、また、どのような流れで手続きが進むのかも一般の方には分かりづらいと思います。
この点を踏まえて、一般の方から見てももっと分かりやすい案内をした方が、双方にとって余計な手間が減って良いのではないでしょうか。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)
【参考】
ねとらぼ:なぜ無断転載された側に手間を要求? 「NAVERまとめ」の“トンデモ”削除対応、理由を聞いた
【画像】イメージです
*sabelskaya / PIXTA(ピクスタ)
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