まとめサイトで乱立するパクり記事の「著作権」問題…侵害された側が取るべき対処法は?

DeNAが運営する医療・健康情報サイト「 ウェルク(Welq)」への、不確かな情報を元にした記事を大量公開していたことに対する批判が発端となり、一般ユーザーが投稿した記事を掲載するいわゆる「まとめサイト」や「キュレーションサイト」と呼ばれるWEBメディアへの法的責任に注目が集まっています。

またこの批判を受けて、12月に入ってからは、DeNAをはじめ「まとめサイト」や「キュレーションサイト」を運営する企業では、記事を非公開化する流れを拡大させつつあります。これらのもっとも重大な問題点として、「他者コンテンツを盗用した」ということが挙げられます。

自分が作ったコンテンツが、無断で使われている…
しかも、それでお金を儲けている…

コンテンツホルダーとしては、許せないですよね。そこで、自分の著作権が侵害された場合に、どういう対処法があるのか、解説していきます。

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

 

■盗用された著作物の「削除と損害賠償」を請求する方法

自分のコンテンツをパクった者に対して、盗用コンテンツの削除損害賠償を請求することが考えられます。とはいえ、削除は分かるけど、損害賠償と言われても、いくら請求していいのか分からないと思われるかもしれません。

しかし、著作権法では、著作権を侵害した側が、それによって利益を得ていた場合には、相手方の利益額を損害賠償できるという規定があります。

また、相手方の利益額が分からなくても、いわゆる著作権のロイヤリティ金額を損害賠償できるという規定もあります。

なので、そのような法律に基づいて、自分に有利な金額の損害賠償請求をしましょう。

具体的な請求方法は、下記のような流れが想定できます。

①侵害している者に対して、内容証明を送付し、金額などの交渉をする
②相手方が交渉に応じない、又は返答がない場合には、訴訟する

 

■盗用コンテンツが別のウェブサービスに拡散されたときに「削除要求」する方法

盗用されたコンテンツが、ブログサービス(アメブロ、ライブドアブログなど)やECサイトに掲載されるといった例は多いです。このような場合には、サービス運営事業者に対して、自己の著作物が侵害されている旨を通報し、盗用コンテンツの削除を要求することが考えられます。

このようなサービスには、権利侵害を通報するフォームがあることが通常なので、 そこから入力して通報することが出来ます。

また、事業者に対して、内容証明などの方法で、削除要求するなどの方法もあります。

 

■「警察へ刑事告訴」するための準備方法

著作権侵害があまりにひどい(コンテンツを丸々パクられた)ようだと、著作権法違反で警察に刑事告訴という手段もあります。刑事告訴する場合には、必ずを次の3つを準備して、警察にいきましょう!

①これまでの経過
②自社が著作権者であることの証拠
③著作権侵害の証拠(ネットの画面をプリントアウトするなど)

警察も数多くの事件を抱えているため、手ぶらでいってもほぼ相手にされません。きっちり証拠を見せて、事件化してほしい旨を警察官に伝えることが大事なのです!

 

■コンテンツがパクられたら「Google」へ削除の申し立て

また、自分のコンテンツが盗用された場合には、上記のように法的に様々な方法がとれますが、Googleに申請して、検索結果から削除してもらう方法もあります。

これは、削除や損害賠償などのように、直接的なものではないですが、検索結果から削除されるため、自分のコンテンツ盗用の影響を最小限にとどめるという意味が有用です。

「削除申し立てフォーム」は以下になります。
著作権侵害の報告: ウェブ検索

 

 

*著者:弁護士 中野 秀俊(グローウィル国際法律事務所。弁護士になる前、システム開発・インターネット輸入事業を起業・経営。IT・経営・法律に熟知していることから、IT・インターネット企業の法律問題に特化した弁護士として活動している。ブログ「IT・インターネット法律ブログ」)

【画像】イメージです

*Graphs / PIXTA(ピクスタ)

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