忘年会シーズン到来…「タクシー内で嘔吐」した場合に法的な責任は発生する?

■タクシー側には全く責任がない?

もっとも、逸失利益の存在は、請求をする側に立証責任が課せられます。その場合、その汚損したタクシーが稼働するはずであったこと、それによって得られた利益の具体的金額を含めて立証する必要が出てきます。

そうすると、たとえば保有台数が何十台にも上るタクシー会社の場合には、配車を工夫するなどして逸失利益の拡大をある程度防止できる反面、個人タクシーの場合にはそれが難しいという点があり、請求できる逸失利益の額が異なってくる可能性もあるように思われます。

なお、タクシーは正当な理由がない限り基本的に乗車拒否ができないとされており(道路運送法13条)、正当な理由の一例として、泥酔者が挙げられております(自動車運送事業等運輸規則第13条3号)。

とはいえ、忘年会が終わって帰る足もなくなれば、必然的にお世話になりたいのもまたタクシー。飲みすぎてしまうとお金も記憶も、ときには理性も遥か彼方へ消えてゆきます。

せっかく乗せてくれたタクシーの運転手さんに不愉快な思いをさせないためにも、これからの忘年会シーズン、飲みすぎにはくれぐれもご注意を!

 

*著者 大達 一賢エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)

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*BLACKY / PIXTA(ピクスタ)

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大達 一賢 おおたつ かずたか

エジソン法律事務所

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