■「罰則の引き上げ」は一定の効果はあるかもしれないが…
今回修正された「罰則の強化」についてはどう考えますか?
「罰則の引き上げについては、長時間労働の防止にはつながるとは思います。ただ、これまでの労基法違反事件での立件例を見ると、罰金刑がなされるものがほとんどです。
金額面だけでいうと残業代を払わず罰金を支払った方が得になるということが多かったのですが、今回の修正でもその点に関してはあまり変わりはないのかもしれません。」(大窪弁護士)
罰則を引き上げても、その罰則が軽いものであれば確かに意味はありません。
とはいえ、「長時間労働」を本格的に規制するという意味では、今回の改正案は一定の評価ができるものと言えるでしょう。
ただ、残業時間に上限を設けることが逆にサービス残業につながってくるのではないかという点は心配ではあります。「造反事例の公表」や「罰則の強化」がどのくらい企業の抑止力につながるのかという点については、まだまだ議論の余地があるのではないでしょうか。
*取材協力弁護士:大窪和久(桜丘法律事務所所属。2003年に弁護士登録を行い、桜丘法律事務所で研鑽をした後、11年間、いわゆる弁護士過疎地域とよばれる場所で仕事を継続。北海道紋別市で3年間、鹿児島県奄美市で3年間公設事務所の所長をつとめたあと、再度北海道に戻り名寄市にて弁護士法人の支店長として5年間在任。地方では特に離婚、婚約破棄、不倫等の案件を多く取り扱ってきた。これまでの経験を活かし、スムーズで有利な解決を目指す。)
取材・文:伊藤 あきら(フリーライター、AFP、クラシックカメラアンドアンティークカンパニー株式会社代表取締役。同志社大学卒業後、日本生命相互会社、HIPHOPダンサー、税理士法人を経て、現職。会社経営の傍ら、フリーライターとしても活動している。オフィシャルサイト「いとうノート」)
【画像】イメージです
*xiangtao / PIXTA(ピクスタ)
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