先月10月24日、政府は「働き方改革」の一環として、職場以外でのテレワークや副業、兼業を推し進めて柔軟な働き方を広げていく方針を発表しました。働きすぎにならないよう、残業を減らす意味での労働時間管理の意味合いも含まれています。
ビジネスパーソンが気になってくるポイントとして、「副業」と「残業代」の関係性があります。これまで残業代を生活の重要な糧にしてきた人にとって、新たに副業を探す手間や、業務に慣れる時間を考えると不安に思う人も多いのではないでしょうか?
そこで、知っておいて損をしない「副業」と「残業代」の意外な法的関係性について、紹介したいと思います。
Q.副業での労働時間でも「残業代」は発生する?
A.発生します
労働基準法38条1項は「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については、通算する。」と規定しています。この規定は、長時間労働から労働者を保護するために設けられた規定です。
「事業場を異にする場合」というのは、事業主を異にする場合も含みます(昭和23年5月14日労働基準局長通達769号)。
したがって、副業によって通算労働時間が8時間を超える場合、法定時間外に使用した事業主(後で勤務させた事業主)は労働基準法37条に基づいて割増賃金を支払わないといけません(昭和23年10月14日労働基準局長回答2117号)。
■本業、副業ともに従事する場合の残業代の計算方法の紹介
例えば、労働者が本業で6時間、その後副業で3時間働いたとしてます。副業によって通算労働時間が9時間となり、1時間が法定時間外労働となっています。
この場合、副業での雇い主がこの1時間の分について25%以上割増した賃金を支払わなければいけないということになるわけです。
*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)
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