「固定残業手当」などという名目で、一定時間数(例えば、40時間分など)の時間外手当があらかじめ給与に組み込まれている会社で働いている人や、求人広告でそのような雇用条件を実際に目にしたことのある方は多いのではないかと思います。
では、このように一定数の残業手当が「みなし」にされている場合、残業代は完全に定額になってしまうのでしょうか? それとも、超えた部分はしっかりと追加支給されているのでしょうか?
Q.「みなし残業手当」をもらっていたら、残業代が支払われないの?
A.ウソです。「みなし」た時間を超える残業をした場合はその差額を追加支給する必要があります。
実情からいうと、「みなし残業手当」を超える部分は支払われていないケースの方が多いでしょう。みなされた残業部分以上の残業は申請制にするなどして、追加の申請をさせにくくしている会社が多数存在するのも事実です。
ただし、法律上で言えば、あくまで「みなし残業手当」とは毎月ある程度発生するであろう残業時間分の手当を、実際に残業するしないに関わらず固定で支払っている制度に過ぎないので、みなした時間を超過した部分についてはその差額は貰う権利があります。
例えば、40時間分のみなし残業手当が支払われている会社で実際は80時間の残業をした場合、40時間分の残業代は追加で支給する必要があります。これが支給されていない場合は完全に残業代が一部未払いの状態なので、会社側はこの部分を支払う義務が残ることになるのですね。
*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。
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