2015年6月に施行された自転車に関する道路交通法の改正以降、自転車の運転に関する取り締まりが強化されている中、先日とあるインターネット上で、「原付バイク(原動機付自転車)の運転者が、並走する自転車の後部を足で押して走らせる行為は違法になるのでしょうか」といった質問がされていました。
自転車が原付バイクと同じ速度で走ることになりますし、原付バイクと自転車とが並走することになりますので、直感的に危険な行為だと思うでしょう。
それでは、実際に何らかの法に触れる行為なのでしょうか? 今回は、この行為の法的問題について解説します。
■原付バイクと自転車の双方の運転者が「安全運転義務違反」になる
道路交通法70条では、「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」と定めています。
上記の「車両等」には自転車も含まれているため、原付バイクの運転者が並走する自転車の後部を足で押して走らせた場合、自転車は原付バイクと同じ速度で走ることになります。
そうすると、自転車は適切にハンドルやブレーキを操作することができずに他人に危害を加えるおそれが高いですから、安全運転義務(安全操作義務や安全速度運転義務)違反になるでしょう。
原付バイクが法定速度である30キロメートルで走行していたとしても、自転車は原付バイクと並走する形で後ろから足や手で押されているわけですから、自転車の運転者に操作・制動を適切に行うことを期待できず、同じく安全運転義務違反になると考えられます。
同じく、原付バイクの運転者も、片足や片手を自転車の後部に乗せて自転車と並走することによって、とっさに適切な操作・制動を行うことができないといえますので、安全運転義務違反となるでしょう。
つまり、「車両等の運転者は…道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」と定められているように、速度の問題だけでなくこのような行為自体が取締りの対象になるということです。
次ページ運転者にはどんな罰則が?
- 1
- 2