もしもロボットが予想外の問題行動を起こしたら法的責任は誰が取る?

■ロボットメーカーに責任追及はできるのか?

また、お客さんは、そのようなロボットを作ったメーカーに対して、責任追及したいと考えられるかもしれません。ここで、考えられるのが、製造物責任法です。

この製造物責任法は、民法上の不法行為とは異なり、損害賠償が認められるのに、故意・過失の要件が必要ないとされています。つまり、被害者が優遇されているのです。もっとも、製造物責任法でもロボットの欠陥と損害との間に関連性があることを立証する必要があります。

そもそも、ロボットの構造は複雑です。一般の方が、ロボットの欠陥自体を主張立証することは難しいのです。ロボット技術は、どんどん発展するもので、問題も多く起こる分野にも関わらず、被害者は損害賠償を請求できない可能性が生じてしまうのです。

 

■ロボットの発展と規制、どう折り合いをつけるか?

以上のように、我々の生活の中に、ロボットが導入されると、我々に予想だにしなかった影響が生じます。しかし、何でもかんでも規制という風にしてしまうと、ロボットの発展を阻害してしまいかねません。また、ロボット開発は海外との競争でもあるため、諸外国との間で後れを取る結果になっては、非常に問題です。

どのようなルールを作っていくべきか、我々法律家だけでなく、ロボットにかかわる全ての人々が議論していくテーマであると思います。

 

*著者:弁護士 中野 秀俊(グローウィル国際法律事務所。弁護士になる前、システム開発・インターネット輸入事業を起業・経営。IT・経営・法律に熟知していることから、IT・インターネット企業の法律問題に特化した弁護士として活動している。ブログ「IT・インターネット法律ブログ」)

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*koya979 / Shutterstock

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