「ツイッター」は、手軽に情報発信できるツールとして多くの皆さんが利用していますが、ツイッターで「リツイート」したことが不法行為にあたるかどうかが争われた裁判があるのはご存知でしょうか。
この裁判は、東京地方裁判所平成26年12月24日判決(以下「本件裁判」)です。
本件裁判で問題となった行為は、判決文によれば(他人が投稿した)「『ポスター破りに唾かけ、車破壊、名誉毀損、業務妨害、証拠隠滅・犯人隠避、ストーカー、強姦、強制猥褻、不正アクセス、詐欺、恐喝、集団暴行、飲酒運転etc…お前らはこんだけやらかしてるんだから、無傷でいられるわけないでしょ』とのツイート」を、自分のアカウントから「ツイッターに再投稿(以下「リツイート」という。)し」た、というものです。
もとのツイートである、「ポスター破りに唾かけ、車破壊、名誉毀損、業務妨害、証拠隠滅・犯人隠避、ストーカー、強姦、強制猥褻、不正アクセス、詐欺、恐喝、集団暴行、飲酒運転etc…お前らはこんだけやらかしてる(以下略)」という内容が、対象者の社会的評価を低下させるに足るものであり、これが名誉毀損にあたることは争いがないところだと思います。
■リツイートしただけなのに…
そうすると、上記のような内容のツイートをリツイートするという行為が、ツイート投稿者と同様、「(社会的評価を低下させるに足る)事実を摘示した」といえるかどうか、が不法行為にあたるかどうかの判断の分かれ目になります。
リツイートした投稿者からすれば、「他人の文章を引用(リツイート)しただけで、自分で積極的に情報を作成・発信した訳ではないから、“事実の摘示”にはあたらない」と言いたいところです。
本件裁判において、訴えられた側は判決文によると「リツイートは、原告X2自身が発信したものでない旨主張し、それを前提に、被告Y7及び被告Y6の反訴請求が不法な請求又は二重提訴である」というように、自分が発信したものではなく、したがって損害賠償責任は負わない、と主張しました。
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