【世界津波の日】注目の判例「大川小津波訴訟」の争点を読み解く

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■限られた時間で適切な判断をし、避難し得たのか?

当時の時間経過をもう少しリアルに迫ってみましょう。15時30分、広報車が高台への避難を呼びかける(この時点で避難する義務が生じたと判決は指摘)。同33~34分、「三角地帯」へ向け避難開始(この場所が避難先として判断ミスでがあっと判決では指摘)。同37分、大川小に津波が到達。

この、たった全7分間の時間経過の中で、避難すべき事態であることを認識し、どこを目指すべきか的確に判断し、しかも逃げ切らなければならなかった、と判決では言っています。そして、裏山を選ばなかったことを、判決は過失として重要視しているように見えます。

しかし、裏山を選んだとしても、避難を開始したのが15時33~34分であれば、安全に逃げ切れたといえるでしょうか。裏山へ一歩入ればもう安全、ということはなく、ある程度高いところまで登る必要があるのではないでしょうか。残り3~4分でそれができたのか、むしろ、判断行為など一切なしに、15時30分の時点で一斉に裏山へ向かってはじめて、ぎりぎりで惨事を防げたか、それでもまだ時間が足りなかったかもしれない、というのが妥当な見方にも思えます。

これは決して被告側である、宮城県と石巻市の肩を持って言っているのではありません。避難開始までに3~4分を費やしたことが問われなければ、事件の全体が解明されたとは言い難いと思うからです。

どうしていれば、惨事を招かなくて済んだのか。原告側である遺族の方々も、それをくまなく解明し、防止策を確立するのが究極の願いであるのではないでしょうか。控訴審がそのために使われるなら、審理に期待したいと考える次第です。

 

*著者:鉄箸法雄(法情報専門の編集者・ライター。出版社で、長年法律書籍・デジタルコンテンツ等の編集に携わったのちに独立。現在も「全ての人に良質な法情報を」をモットーに活動中)

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