【世界津波の日】注目の判例「大川小津波訴訟」の争点を読み解く

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本日11月5日は、国連が新たに定めた「世界津波の日」です。東日本大震災の被災地である仙台市では、巨大地震で大津波警報が出たという想定で避難訓練が行われました。

ところで現在、東日本大震災の津波被害に関する注目の裁判が行われていることをご存知でしょうか。それは、東日本大震災の津波で児童・教職員計84名が犠牲になった、宮城県石巻市の大川小学校の児童の遺族が訴えた損害賠償訴訟です。

仙台地方裁判所は10月26日、「市の広報車が避難を呼びかけたのを教員らが聞いた時点で、津波が到達する危険を予測できた」「結果が回避できる可能性が高い裏山でなく、不適当な場所を移動先に選んだのは結果回避義務違反の過失があった」と指摘して、宮城県と石巻市に対し計14億円余りの賠償支払を命じる判決を言い渡しました。この判決に対し、宮城県と石巻市は控訴する方針を表明しています。

まずは事故の全体像を簡単に振り返ってみましょう。2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う津波が、三陸海岸・追波湾の湾奥にある新北上川(追波川)を遡上してきました。この津波が、河口から約5kmの距離にある同校を襲い、校庭の内外にいた児童78名中74名と、教職員13名中、校内にいた11名のうち10名が死亡しました。

 

■過失が認定された2つの視点とは

判決は、学校側の過失を2つの点からみて判断しています。1つめは、津波回避の場所へ避難させる注意義務そのものがあったか。2つめは、避難先として選んだ場所として適切な判断をする義務を果たしていたか、となります。

今回の判決からは、裁判所は1つめの注意義務が「あった」と認め、2つめについては「義務を果たしていなかった」としたことが読み取れます。広報車の声を聴き、迅速・的確に避難場所を判断し行動していれば、おおかた助かったはず、という判断がされたのです。

 

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