■偽メールを送った事業者を特定するためには
前述のように偽メールを送った事業者に対して請求できることはわかりましたが、偽メールを送った事業者が誰なのか、どこにいるのかわからないことには、始まりません。
このような場合に、相手方を特定するには、一番強制力を持つのは、警察です。不正競争防止法では、差し止めや損害賠償などの民事上の規定だけでなく、刑事罰も規定されています(不正競争防止法21条、22条)。
よって、LINE側としては、警察に刑事事件として告訴することもできます。警察が捜査してくれると、警察は強制捜査権ありますので、偽メールを送った事業者の発見が早くなります。
また、刑事事件に発展すれば、このような事業者は、偽メールを送ることをやめるでしょうから、被害の拡大を防止することもできるのです。
各都道府県の警察署には、都道府県警察サイバー犯罪相談窓口というものがあります。本件のような被害を受けた方は、一度相談に行くとよいかもしれません。
■被害を受けたら、速やかに外部に公表を
また、企業の危機管理として、本件のように、自社の名前を語られた情報が出回っている場合には、速やかに、自社とは関係ない旨を、外部に公表する必要があります。特にインターネット上の情報は、瞬く間に拡散する可能性があるため、モタモタしていると、自社の社会的なイメージが低下しかねません。
よって、速やかに情報を収集し、コーポレートサイトでの公表やプレスリリースを打つなどの対策が必要です。
このような対応は、事件が起こってから動いていたのでは、速やかな対応ができないものです。日ごろから、事件が起きた場合には、どのように対処するのかなどの業務フローをマニュアルなどに定めておくことが、企業の危機管理としては大切なのです。
*著者:弁護士 中野 秀俊(グローウィル国際法律事務所。弁護士になる前、システム開発・インターネット輸入事業を起業・経営。IT・経営・法律に熟知していることから、IT・インターネット企業の法律問題に特化した弁護士として活動している。)
【参考記事】
LINEが「異常にログインされた」?―そのお知らせ、ニセモノかも(インターネットコム)
【画像】イメージです
*ako / PIXTA(ピクスタ)
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