■結局、双方の慰謝料はどうなるのか?
つまり、「不倫をした妻に逆上した夫が暴力をふるった」という事例で、妻は何をされても泣き寝入りしなければならないというわけではないということです。そして、お互いが相手方に対して請求をすることになった場合には、対等額の範囲で「相殺」されることとなります。
つまり、夫の暴力があまりにもひどく、妻の不倫よりも与えた精神的苦痛や財産的損害が大きいということになれば、夫の側の持ち出しということになるわけです。
いまだに日本の社会の中では、「妻は夫の思い通りになって当たり前」、「妻が逆らえば夫は何をしても許される」などと考えている古い男性が少なくありません。そういう古い男性には、決して何でも自分の思い通りになるわけではないということを理解してもらいたいものです。
もっとも最近では、逆の現象も少なくないようです。
夫婦間の問題は、感情が先に立って理性的な対応ができず、そのために泥沼化しやすいものです。感情の赴くままに行動すれば自分が損をすることになるということを常に頭において、少し冷めた目で、パートナーである夫や妻の行動を眺めることが必要なのかもしれません。
*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)
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*polkadot / PIXTA(ピクスタ)
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