当り屋といえば自動車をターゲットにするというイメージがありますが、最近では、通常の歩行者を装って自転車にわざと接触し、「所持品が壊れた。」、「スマホの画面が割れた。」と主張してくる手口で、“自転車の運転手”を狙った当り屋もいるようです。
今回は、そのような自転車の運転手を狙った当り屋から身を守るにはどうしたらいいかについて、実務的な観点も交えて解説したいと思います。
■相手が当り屋であることを証明するのはけっこう大変
よっぽどわざとらしく当たられた場合を除き、事故直後に当り屋であると証明できることは珍しいケースだと認識してください。また、当り屋は目撃者を準備していることもありますので、事故直後から証拠集めをしないと、事後的に相手が当り屋であることを証明することはかなり困難となります。
「警察を呼んで実況見分してもらえば証拠が残るし、相手が当り屋なら警察のリストにも載っているだろう。」と思うのはちょっと楽観的です。
警察は、物損事故の場合は簡単な現場見取図を作成するだけですし、民事不介入なので、こちらから当り屋の可能性を指摘しない限り、通常、相手が当り屋かどうかを調べません。そもそも、当り屋に前歴がなければ、相手が当り屋かどうかについて警察も把握していないといえるでしょう。
通常の交通事故の場合と同様、事故直後の現場状況や相手の損害状況を撮影しておく、相手や目撃者との会話を録音しておく、こちらに有利な目撃者を探しておく(近隣の店舗の人であれば当り屋が用意した目撃者という可能性はないといえます)、現場見取図には正確に記載してもらうことが重要になります。
とくに、自転車の場合はドライブレコーダーが付いていないので、自動車の場合よりも証拠保全には気を配りたいところです。
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